血盟

 -------(タウロ視点)-------



「……おじさん、相談したい事ある」



 義甥の晃が部屋を訪ねてきた。少し暗い顔をしている。何かあったのだろうか?

 このくらいの年齢だと友人と喧嘩でもしたのだろうか?

 


「どうしました?」


「俺、血盟、悩んでる。……………………おじさんとこに入りたいけど、マルクと一緒のとこにも入りたい。血盟ってふたつ入れる?」


「ふたつは無理ですね」



 甥は少しがっかりした顔になってしまった。



「血盟は後でいくらでも変えられます。今は1番入りたいところに入るのがいいと思いますよ?」



 甥が自分(の血盟)よりもカオるんを選んだのはほんの少し、癪ではあるが、実際問題としてその選択は正しいと思う。


 うちの血盟は現在、『戦闘』メインと『建設』メインのふたつに分けて活動をおこなっている。

 勿論、日々の訓練もだ。


 子供の晃には厳しいし退屈するのが目に見えている。


 その点カオるんの『ハケン』には晃と同年代(肉体年齢だけでなく精神年齢も)が多く居るので晃も楽しめるだろう。

 それにキヨカさんと言うマザーも居るので安心だ。


 そう言えば先日、カンさんが嘆いていたな。


『翔太がうちの血盟を抜けたんです……。寂しい。子供が大人になっていくって寂しいですね』


 いや、カンさん、翔太は大人にはなっていませんよ。どちらかと言うと子供を満喫するために、血盟を移動したんだと思う。


 翔太も『ハケン』へ移ったそうだ。



 カオるんの『ハケン』は何処を(何を)目指しているのだろうか。

 …………いや、特に何処も目指してはいないだろうな。



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俺得、番外編 くまの香 @papapoo

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