隠し子


『隠し子』


-------------(キヨカ視点)----------------


 あの日の莉緒(アネッサ)の言葉が頭から離れない。


『カオるん、隠し子とか居たりしてー』


 カオさんも実年齢は49歳だと言う。未婚であっても今までそう言う関係の女性(ひと)が居てもおかしくない。

 ましてや異世界に10年。


 異世界の人は結婚も早いと聞いた。カオさんの話によく出てくる『やまと屋』にも、沢山の女性(しかも若い)がいたそうだ。


 カオさんとそう言う事になって、子供が産まれたとしてもおかしくない。

 カオさんは、あっちの世界に奥さんと子供を置いてきたのだろうか?


 マルク君は養子だが、彼は自分で追いかけてきたと言っていた。

 そうだ!マルク君に聞いてみよう。こんな風にうだうだといつまでも考えてしまうなら、聞いてスッキリしたい。


 カオさんには聞きづらいのでマルク君に聞こう。




「ねぇ、マルク君、カオさんは………ええと、ムゥナに子供、とか、その奥さんとか、モニョ……ぃたの、かしら」


「ん?ムゥナの子供? ムゥナに子供は沢山居たよ?」


「あ、ええとね、町の子供ではなくて、カオさんの……子供とか」


「うん!僕! 僕が父さんの子供ぉ!」


「ええ、ええ、そうね。マルク君はカオさんの子供ね。……ええと、マルク君以外にも、あ、やまと屋で働く子供じゃなくて、カオさんの子供っていたのかしら」



「んんー?んーとね、いた」



 そう言ってマルク君はアイテムボックスからタブレットを取り出した。

 開いた画像にはカオさんが沢山の人達と写っていた。



「うんとねー、父さんがここ、それが僕、横がキックおじさん……」



 マルクが写真に写っている人物の説明を始めた。

 私はカオさんと歳がそう離れていなそうな女性を指差して聞いた。



「この女性(ひと)は?」


「レモンさん。キックおじさんの奥さん」


「じゃあ、こっちの女性(ひと)は?」


「あつ子おばさん。あつ子おばさんの旦那さんはこの写真を撮ってくれた人だよ?」


「じゃあ、この人は?」


「リンおばさんは、この子とこの子と、あとこっちの子のお母さん。旦那さんは……、あ、ここ」


「この人は?」


「パラおじさんの奥さん。僕ね、陽葵ちゃんと仲良しだった。この子。一緒にギルドの依頼を受けたりしたの」



 妙齢の女性は、皆それぞれ旦那さんがいた。そうするともう少し若い子なのかしら。

 思い切って20歳くらいの子を指差してみた。



「あ、アリサ! アリサはねぇ、お父さんの娘。こっちがダンでお父さんの息子だよ? ダンとアリサと僕は血は繋がってないの。でもお父さんが僕らはお父さんの子供だし兄弟なんだって。ダン……元気かなぁ。無茶してないといいけど」



 え、待って待って?

 ダンとアリサとマルクの血は繋がっていない。

 でも3人は兄弟…………?


 それってカオさんが3人別々の女性と……?





 キヨカの眠れない日は続くのだった。


 完

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