第6話

「あっ、見えたよ!」


 早坂の声で、僕は我に帰った。つられて空を見上げると、いくつか星が、瞬き始めていた。


 十年前に見た、星の海のように。


「ホントだ……」


 僕はおもむろに、夜空に向かって手を伸ばした。星の海に向かって手を伸ばした。


 あぁ、じいちゃん。


 じいちゃんは今、星の海を泳いでいるんだ。


 そしていつかきっと、僕に会いに来てくれるんだ。


「なぁ、早坂」


「ん?」


 どんなに厳しくても。僕はずっと。


「僕はずっと、じいちゃんのことが大好きだったんだ」


 早坂は何も言わなかった。代わりに、ふっ、と笑みをこぼすだけだった。


 じいちゃんは星になって、僕の行く先を眩く照らした。未来が、無限に輝いた。


 そのとき、だった。


 僕は胸が締め付けられるような思いになって、そして気がつけば、双眸から涙を流していた。


 END


 ここまでお読みくださり、ありがとうございました!


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星の海 夜海ルネ @yoru_hoshizaki

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