向かい合うことで笑いあえるなら、まっさらな命で生きていたかった

恋愛ものであるが、物悲しい。

「わたしは高校二年生だった」
過去形の書き出しから、過去話が語られるのか、あるいはすでに死んでいるのか。
あれこれ読者に興味が湧かせる書き方が良い。
文章のカメラワークの使い方も上手い。

主人公の過去回想で書かれた作品なので、文章の語尾が「~た」で終わりがちになるけれども、カギカッコを外したセリフだったり、体言止めだったり、いろいろな工夫がみられる。
そのため、単調にならずに読めるところが良かった。

主人公がなくなったとき、パソコンに残された作品で思いが伝わるのは遺書めいていて、後輩は嬉しやら悲しいやら複雑な思いになっただろう。