幼馴染と雨の日二人きりに…このドキドキは気のせい…なんだよねっ⁉︎

猫の集会

オレどうしちゃった⁉︎

 オレは大学生。

 

 今日は、大学のサークルがあり帰りが少し遅くなってしまった。

 

 ま、でも今日は両親が旅行にいってるから遅くなろうがなにしようが問題ない。明日も休みだし〜。何の問題もない〜。

 

 はずだった‼︎

 

 しかーし‼︎大問題発生中‼︎

 

 帰り道いきなりの土砂降り!

 

 もうすぐ家だからとにかく走ろう。

 

 ぅおーーっ‼︎

 

 バシャバシャと暗闇の中全力疾走した。

 

 

 走りながら鍵を出してっと。

 

 

 ⁉︎

 え…

 

 ええっ⁈

 暗闇に、だれかおりますよ…って…

 

 あ、あれは…‼︎

 

 おいおい〜…

 

 この土砂降りの中、幼馴染がずぶ濡れで立っていた。

「おーい、由衣夏」ゆいか

「あ、ひろとー…。よかったぁ。ひろとぉぅ…」

 と二つ年下の幼馴染がオレに抱きついてきた。

 

 ビチャっ

 

 …

 

 おわっ…

 ビチャビチャのオレにビチャビチャの幼馴染が引っ付いた。

 

 ビチャビチャ同士のハグ…

 

 心地よい…わけは、ないっ‼︎

 

「なにしてんだよ⁉︎」

「ビチャハグ」

「そうじゃなくて…さ」

「…あのね、昨日雨予報で…それに両親旅行でさ、傘と鍵忘れないように置いといたらそのまま置きっぱなしにして忘れちゃってー…」

 と半べそさんかいていた。

 

「あー、うちと由衣夏の両親仲良くみんなで旅行行ったんだもんな。」

「うん。こんなことになるなら、わたしもバイト休んで行けばよかった」

「なら、オレに電話くれればよかったのに」

「だってひろとも旅行行っちゃったのかと思って…みんなに心配かけたくないじゃん」

 と謙虚な由衣夏。

 

「とりあえず、うち入ろ」

「うん、ありがとう。ひろと大好き!」

「オレもだよ」

 

 もう大好きは、挨拶みたいなものだ。

 

 

 

 玄関に入った途端由衣夏は、

 ブエックシュンと盛大なくしゃみをした。

 

 そしてブルブル震えながら、

「わたし…十分以上水に濡れてると化け物に進化するの」

 といきなりとんでもない発言をしだした。

 

 え?

 今までそんな話聞いたことありませんけど?

 

「なに?化け物って…」

「あれだよぅ。声ガラッガラの鼻ズルンズルン垂れ流しの体温調節不可になるあの恐ろしいあれ…が……ブエックシュン‼︎」

 

「あー、風邪な。ほらいいから早く風呂入っておいで。」

 

 冷たくなった由衣夏をお風呂に誘導した。

 

 すると由衣夏がいきなり振り返り、

「あの…、あのー…お風呂から上がるまではけっして覗かないでください。」

 と小芝居をしながらドアを閉めた。

 

 そんな暇あるなら早くお風呂入りなよ…と少し呆れた。

 

 

 …

 

 いまさらだけど…今オレと由衣夏この部屋に二人っきりなんだよな。

 

 なんか…なんかドキドキするのは、気のせい?だよね?

 

 うん。

 気のせいだよ。

 だって由衣夏は、幼馴染だし…

 

 と自分をなだめながらもテレビの前を行ったり来たり。

 

 そんな無駄な往復をしていたらお風呂から上がった由衣夏がオレの用意した服を着てブカブカだぁ。

 と萌え袖を披露した。

 

 あぁ…、萌え萌えだ。

 か、かわいいじゃないかっ。

 

 ってオレ…、な、なにをキュンキュンして萌え萌えしてるんだよ。

 

 由衣夏は、オレのただの幼馴染だろうに。

 

 …

 

 好きなわけ…好きなわけないんだ。

 

 そうだよ。

 きっと誰でも萌え袖見るとキュンキュンするもんなんだ。

 

 きっと…

 

「それ、ブカブカだね」

「うんっ、でも嬉しい!」

 

 由衣夏は、なんでそんなに嬉しそうなのだろうか…?

 

 よくわからなかったけど、まあいいか。

 

「ホットココア飲む?」

「うん、ありがとう」

 

 …

 

 オレの前に座りホットココアを飲んでいる由衣夏。

 

 なんだろう…

 なんか…

 

 あれかな…?

 お風呂上がりの由衣夏なんて普段見たりしないからなんだか…違和感?ってわけでもなく…うーん。なんだろう…

 

 …

 

 幼馴染って…幼馴染以外になんか…うーんとー…

 

 妹?

 

 ‼︎

 

 あぁ、そうか!

 オレは由衣夏をかわいいと思っているのは、妹みたいに思っているからか!

 

 あー、スッキリしたー。

 

 これで心置きなく言えるわ。

 

「由衣夏、かわいいね」

 あー言えたわー。

 スッキリー。

 

 かわいいが言えてスッキリしたと思った…

 

 でも、由衣夏は恥ずかしそうに顔を赤らめて、

「えっ…ほんと?かわいい?」

 と萌え袖で前髪を整えた。

 

「えっ…、う、うん。かわいいよ」

 あれ?

 なんだろう…?

 

 なぜかドキドキする……んだけど…⁇

 

「ねー、そのかわいいは、女の子として?それとも、小動物的な?」

 の質問にオレはハッとした。

 

 あー、妹的なかわいさじゃなくて、オレは小動物的なかわいさにキュンとしていたのかと。

 

 だから、

「小動物かな?」

 と答えた。

 

 すると、

「なんの動物ー?」

 なんて言うから、思わずテレビに映っていた子猫をみて、

「うーん。子猫」

 とテレビをみながらこたえてみた。

 

 するといきなり、由衣夏は

「にゃーん」

 と言いながらオレに抱きついてきたじゃないかっ‼︎

 

「おわっ…、いきなり来るからびっくりしたわー」

 と焦った。

 

 …

 

 で?

 

 この幼馴染猫は、いつまでオレに抱きついているのかな?

 

 …

 

 チラリと幼馴染猫の顔を見ると、なんとも恥ずかしそうな可愛らしい顔をしてるじゃねーか‼︎

 

 メス猫かっ⁉︎

 

 あー、メスだな…

 女の子だし。

 

 てか、可愛すぎかっ‼︎

 

 あー、オレはどうしてしまったんだ…

 

 幼馴染がただのネコになっただけで…

 

 ‼︎

 あぁ、猫のマネなんかされたらそりゃ誰でもドキドキするよな…⁉︎

 

 うん、そうだよ。

 そうに決まってる。

 

 よね⁉︎

 

 よねっ⁉︎

 

 

 …

 

「ねぇ、この前送ってくれたハートの形の雲すごいね!」

「あぁ、だろ⁉︎」

「うん。わたし待ち受けにしたよ?ほら」

「おぉ、オレもそうしよっかな」

「して!お揃い‼︎…てかさ、そのハート他にも誰かに送った?」

「え、ううん。」

「そっか!」

 

 なぜか由衣夏は、嬉しそうだった。

 

 …

 

 待って…‼︎

 

 オレはずっと由衣夏を幼馴染って枠におさめていたかっただけなのかもしれない。

 

 だって、幼馴染ならずっとそばにいられるし…って。

 

 でも、オレは気づいてしまった。

 

 由衣夏には、ずっと笑ってて欲しいし幸せになって欲しい…

 

 それがだれか他の人が由衣夏を幸せにするんじゃなくて…オレ自身が由衣夏のそばで見守っていたい。そう強く願ってるってことは、やっぱり…やっぱりオレ由衣夏が…。

 

「ハートの雲送ってくれたのってもしかして、意味があった?」

「…意味…あのさ、由衣夏…」

「なに?」

「好き…です。」

「うん。わたしも好きだよ」

 

 …

 

「そうじゃなくて…」

「え?」

「その好きじゃない…んだ。」

「えっ?ってことは…そういう事?」

「…うん。」

 

 …

 

 しばらく沈黙が続いた。

 

 あれっ⁉︎

 もしかしてオレフラれた⁇

 

「あ、さっきのは忘れてくれていいよ?」

「えっ…忘れるって…そんなの無理だよ」

「…あー、そうだよね」

 

 …

 

 あー、いきなり重い空気になってしまった。

 

 どうしようと思っていると由衣夏はパッと顔を上げて、にっこりした。

 

 そして、にっこりしながらポロポロと涙を流し出した。

 

 えっ⁉︎

 ど、どうしよう…。

 

「由衣夏…ごめん。」

「ううん。あたしが勝手に…さ…」

「いや、オレが急に変なこと言い出したからだよね。ほんと困らせてごめん。」

「だ、大丈夫。わかってたし…。」

 

 えっ⁉︎

 わかって…たんだ?

 

 オレは今さっき本当の気持ちに気づいたのに、由衣夏はわかってたんだ⁉︎

 オレのほんとの気持ちに…。

 

 てことは…オレってヤバいやつ⁉︎

 下心アリアリだと思われてた⁇

 ずっと⁉︎

 

 あー…、もう変態じゃん…。

 

「あのさ…、いつから気づいてたの?」

「うーん…結構前から?かな…」

 

 えーっ…

 

 なんだよそれー…

 

 無意識の変態ってこと⁉︎

 

「マジごめんなー…由衣夏ー…。」

「うん…。仕方ないよ」

 なんて素晴らしい由衣夏。仕方ないなんて…

 うつわひっろ‼︎

 

「オレ、由衣夏のことずっと応援してるからな。」

 彼氏には、なれなかったけどさ。

「うん…。じゃあ、わたし帰るね。」

「えっ、家一人なんだろ?大丈夫?」

 

 はっ‼︎

 これも無意識変態⁉︎

 

 フラれたくせに、一夜過ごそう的な、まだしぶといやろうめって思われるやつ⁉︎

 

 訂正した方がいいか⁉︎

 

「あー…、オレといる方がキモいか。ごめんな。」

 

「えっ、キモいわけないけど…一緒は…辛いかな。」

 

 ん?

 なぜ辛い⁇

 

 オレって相当嫌われてる⁉︎

 

 いつからオレは嫌われてたーっ⁈

 

 フラれた挙句ヤバいやつって…

 

 一緒は、ヤダって…由衣夏一人とかこわいくせに…昔から一人でお留守番本当は、嫌だったくせに…それよりもオレと一緒の方が嫌なんて…

 

 オレは…オレは…どんだけ嫌われてたんですかーーっ‼︎

 

「じゃあ、わたし帰るね。」

「うん…、じゃあ由衣夏んちの玄関の前まで送るよ。」

 

「…ありがとう。」

 

 ガチャ。

 

 なんとも重苦しい雰囲気。

 

 玄関のドアまでもかたく重く感じてしまうのは、気のせいだろうか…

 

 あかない…

 

「ふふ、ひろと…カギ」

「あー、だから重くてあかなかったのか」

「もー、そういうところ…だ…大好きだったよ?ひろとの一番になりたかったな…」

 とまたポロリと涙が由衣夏の瞳からこぼれ落ちた。

 

「えっ?なんで泣くんだよ。一番ってなんだよ…?」

「一番は、一番…でも、わたしは二番にも入れない」

 

 え?

 

「オレは…由衣夏が一番好きだよ?フラれたけどさ…って、こういうところがキモいよね?」

「え?フラれたのわたしだよね?」

「はい⁇いや、オレでしょ…待って!好きってどっちの好きだと思った?」

「ひろとの好きは、家族的な…恋愛対象じゃない方…だよね?」

「違うよー…オレの由衣夏に対する好きは、その…あいしてます。の方。」

「えっ、それじゃわたし…勘違いしてた…ならひろと!」

「うん。由衣夏、好きだよ。オレと付き合ってくれる?」

「はい‼︎もちろんです!」

 

 由衣夏は、返事と同時にオレの胸に飛び込んできた。

 

 ギュ〜♡っと。

 

「あー、由衣夏〜♡」

「ひろと〜♡」

 

 オレたちは、愛を確かめ合うかのようにお互いギュ〜ギュ〜抱き合った。

 

 由衣夏のいつも好きだよ返しは、愛の方の好きだよだったとは…。

 

 ずっと気づかなくてごめんなさい‼︎

 由衣夏ー‼︎

 

「由衣夏…」

 オレは、由衣夏を見つめて優しくキスをした。

 

 あぁ、由衣夏が幼馴染でもなく妹でも小動物でもなく、オレの大切な彼女となった。

 

 この柔らかい唇、サラサラな髪の毛、きゃしゃなからだ。

 

 全てが愛おしい。

 

 オレは何度も由衣夏を抱きしめてキスをした。

 

「由衣夏、大好きだよ。」

「わたしも大好き。」

 

 チュ〜っ♡

 

 最高です‼︎もっと早くに気づくべきでした‼︎

 

 

 ♡♡

 

 おしまい♡

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