どんなに願っても上手くいかないこともあるけど、君と新しい世界を信じよう

玄冬の暗さから春の日の出を迎えるような温かみを感じられる。

どちらもコミュニケーションが欠落してよく似ている二人は、名前が嫌いだからと「フユ」「アキ」と名付け、ありふれた環境に絶望してきた。
唯一の救いが廃墟で見つけたのが、「君」のビデオテープ。
中学生の時から六年間、主人公は誰かと接触を避けるように回り道をし、毎日廃墟に来てはビデオを見続けてきた……。

本作はホラーのような、ちょっと不思議で影がある。
誰もが抱えている心の闇のようなもの、そんな雰囲気を醸し出している。
主人公の名前、どういう人物か、君は何者なのかが明かされていく展開。
ちょっと素直ではないので、二転三転、どんでん返しも味わえるところも良かった。