死神の愚痴（男女不問編）

第1話

（ビルの屋上に一人経つ人間）

（その人間に声をかける一つの影）

ね～ぇ

ねぇ、君だよ。　きみ。

そう、君。　はは

こんなところで何してるの？

おや？　飛び降り自殺？

へぇ、君、死にたいんだ？

勿体無いなぁ、そんなに若いのに

俺？

俺は死神

君が死ぬかもしれないからって、呼び出されたんだよ。

君・・・見たところ中学生？　高校性かな？

それにしても、君ってバカだよね。

こんな高さから飛び降りたって死ねないって

もっと高い所からじゃないと・・・

まぁせいぜい、全身打撲で半身不随か寝たきりってところかな。

これから一生、痛い思いをして、ベッドの上で誰かの世話になって・・・

周りの人から「あの人、自殺しかけたんだって」なぁ～んて言われるんだよ　ははは

まぁ、少しは同情はしてもらえるかもしれないけどね。

もっとも、俺がここに来たのは、万が一にも、君が死ぬ事もあるからだよ。

だから、飛び降りたら、ひよっとしたら死ねるかもね。

で、どうする？　万が一に賭けてみるかい？

でも可能性は低いと思うけどね　はは

まぁ、痛い思いをするのは君なんだし

俺はどっちでもいいんだけど・・・・

（うつ向いたままの人間）

ふぅ・・・

どうでもいいけど、もう、いい加減に欲しいもんだね。

死神はそんなに暇じゃないんだよ。

この世にはね、死にたくなくても、死ななきゃならない人達が沢山いるんだよ。

俺たち死神はね、そんな人達を無事に冥界（めいかい）まで送り届けるためにいるのさ

だから、君達みたいな、ふざけた「自殺ゴッコ」になんて、付き合っていたくないのさ。

ホントいい迷惑だよ！

坊や

どうせ死ぬのなら、もっと強くなってから死にな

今の君なんかに死なれたって、連れて行くところなんてないんだよ

君の、そのちっぽけな命ってもんが何なのか、よく考えてみる事だね。

さぁ、分かったなら、さっさと家へ帰りな！

（相手に聞こえない程度の声で一言アドリブ）