必殺仕事人風台本10『男勝負』

Danzig

第1話


男が店から出てくる


銀二:ははは、ありがとよ

銀二:じゃぁ、また来るぜ!、


一人の男が銀二の前に立ちふさがる


銀二:おっと・・・ん?


左之助:銀二、ひさしぶりだな


銀二:なんだい、左之助さんかい

銀二:久しぶりだな、どうしてここに?


左之助:ちょっと顔かせ


銀二:あ、あぁ・・・


場所を移動する二人


銀二:で、どうしたんだい、左之助さん

銀二:俺をこんな所に連れ出して


左之助:なんでだと思う?


銀二:さぁ、

銀二:分からないから聞いてるんだよ


左之助:おめぇ、近頃、羽振(はぶ)りがいいみたいだな


銀二:あぁ、ちょっとな


左之助:ほう

左之助:で、随分と節操もなく仕事をしているようじゃないか


銀二:金が欲しいからな。


左之助:それだけか?


銀二:いや、違うな

銀二:俺は殺しが楽しいのさ


左之助:ほう


銀二:何か悪い事でもあるのかい?

銀二:憎い奴を殺したいって人間がいて、

銀二:それを俺が代わりに殺してやる。

銀二:まったく、いいことづくめじゃないか


左之助:まぁ、それが俺たちの仕事だからな


銀二:だろ?

銀二:それがどうしたってんだい


左之助:だがおめぇ、関係ねぇ奴らまで殺してるそうじゃないか


銀二:あぁ、そういう時もあったな

銀二:なぁに、ついでさ

銀二:それが悪いってのかい


左之助:悪いかどうかなんて俺にはわからねぇ

左之助:だがな、

左之助:俺たちの稼業(かぎょう)は、どっぷり殺しに染まっちゃいくが、

左之助:殺しに酔うやつは、始末がわるい


銀二:へー

銀二:始末が悪いから、俺を殺る(やる)ってのかい

銀二:左之助さん、あんたの正義ってやつで


左之助:いや、俺にそんな正義はねぇ


左之助:俺はただ、仕事でここに来た。

左之助:昔のよしみだからな、声をかけさせてもらったのよ


銀二:そうかい・・・仕事かい

銀二:で、俺はいくらで殺されるんだい


左之助:弐朱(にしゅ)だ


銀二:なんでぇ、俺の命はたったの弐朱(にしゅ)かい、

銀二:それっぽっちじゃ死んでも死にきれねぇな


左之助:人を殺すほど、てめぇの命は安くなる

左之助:それくらい、お前だって分かってるだろう


銀二:あぁ、そんな事は分かってるさ

銀二:それにしても随分と安くなっちまったもんだな


左之助:こういう仕事をしてるとな


銀二:そうだ、あんたに俺が稼いだ百両出すよ

銀二:それで、俺の前に先にその依頼人を殺してくれよ


左之助:それが叶(かな)わぬ稼業だって事も分かっているはずだ

左之助:それに、そんな事したって仕事はとまらねぇ


銀二:あぁそうかい・・・それもそうだな

銀二:それで、左之助さん、あんたに俺を殺れるのかい


左之助:あぁ、俺は仕事をしくじった事はねぇ


銀二:そりゃ『今までは』だろ

銀二:左之助さん、確かに俺はあんたに仕事を教えてもらったよ

銀二:だがな、今の俺はあんたよりも力は上だよ

銀二:武器の相性だって、俺の方がいい


銀二:今の俺とあんたがやりあえば、勝つのは俺だぜ


左之助:そう思ってるなら、試してみるか?


銀二:あぁ、いいぜ

銀二:あんたが死んでもいいって言うならな

銀二:あんたを殺して、俺の方が上だってハッキリさせてやるよ


構える銀二


左之助:かかってきな


二人の戦いが始まる


銀二:うりゃぁ(攻撃している息遣い)


左之助:はっ(身をかわす)


銀二:せりゃ(攻している息遣い)


左之助:ふっ(身をかわす)


銀二:とりゃ(攻している息遣い)


左之助:ふっ(身をかわす)


勝負がつかない


銀二:どうしたんだい左之助さん、よけてばかりじゃないか

銀二:俺を殺すんじゃないのかよ


左之助:四の五の言わずに掛かってこい


銀二:ったく、いつも偉そうで気に食わないんだよ、あんた

銀二:もう終わりにしてやるよ


左之助:あぁ、そうだな

左之助:覚悟しな


銀二:せりゃ(攻撃している息遣い)


左之助:く・・(バランスが崩れる)


銀二:へへ、これで終わりだよ


左之助:ふん


左之助の得物が銀二を捕らえる


銀二:う・・・あぁ・・・

銀二:さのす・・・なん・・・


銀二が絶命する


左之助:銀二、殺しに酔った人間はな

左之助:どうやって殺しを味わうか、殺しの瞬間にそういう事を考えて隙が出来るんだよ

左之助:お前にはまだ教えてなかったな


左之助:銀二、ちょっと先に地獄に行って待ってろよ

左之助:俺もどうせ、じきにそっちに行くからよ

左之助:そしてら、また一から教えてやるよ


左之助:じゃぁな


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