第15話 永遠の親友

先輩である赤羽は優太の幼馴染で彼女だった大谷麗華を奪い、さらに優太の悪い噂を流して俺の大切な親友の心を傷つけた。


俺が集めた証拠で、赤羽の手足となっていたテニス部員の退学や、赤羽自身の悪い噂が出るように仕掛けたが、まだ赤羽自身への復讐としては全然足りていない。


俺は夏休みに一度だけ、優太や最近は優太と仲の良い渡辺さんとプールに行き、残りは全部アルバイトをする事にした。

赤羽の家に一番近いコンビニエンスストアだ。


そこに置いてある家族計画用の商品を自分でも一通り購入しておき、商品の中身に極小さい穴を開け、わからないように糊で箱を元に戻してポケットに持っておく。

少し元手は掛かるけどこれは必要経費だし、アルバイト代で賄えるだろう。


夏休みの間に何回か赤羽がそれを買いに来たので、俺は商品を袋に入れるフリをしてポケットから取り出した物を代わりに入れた。


結果、赤羽が持っているのは全て穴が空いた商品となったはずだ。

赤羽の女達には悪いが、俺の復讐の生贄になってもらおうか。




ーーーーー




夏が過ぎて秋になる頃、優太の幼馴染だった大谷や複数の女生徒が妊娠して、学校を辞めていった。


俺は匿名で、女子達とデートやホテルに入る様子の赤羽の写真を学校に送った。

赤羽は複数の女生徒を妊娠させた事実を学校側に把握され、最終的には退学処分となった。


その少し後には優太の父が言っていた様に、赤羽父が経営する病院の大きな不正が発覚し、病院は潰れてしまった様だった。


優太の幼馴染だった大谷は、優太を振ってまで選んだ赤羽が退学になり、頼みの赤羽父が経営する病院まで潰れてしまった事になる。

今は一体どんな気持ちなんだろうか。

俺にはわかりそうも無いが、後悔しているのだけは間違い無いだろう。


赤羽も優太の幼馴染に手を出さないか、出したとしても優太に危害を加えなければ、優雅な高校生活があり将来的にも成功していた可能性が高い。

そうなったらまた別の何かで破滅していたかも知れないが。


ともかくこれで俺の復讐は幕を下ろしたのだ。




ーーーーー




その後、優太とは同じ大学に入り学部も同じ道を歩んだ。

優太を凄く尊敬している俺の弟も、猛勉強して後に続いてきた。


優太は高校生の時から付き合ってきた渡辺さんと同棲する様だ。

一途な優太の事だからこのまま結婚してしまいそうだが、それはそれで良いのかも知れない。

あの子はずっと狂信的なまでに優太ラブだしな。

きっと優太を裏切る事は無いだろう。


俺は俺で同じ大学で人生で初の彼女が出来た。

見た目は少し地味だけど、趣味が合って物静かな良い子だ。

おれも優太の様に彼女を大事にしていければと思う。


やがて就職する際に、俺は優太に請われて優太父の会社に入る事になった。

入社試験や面接も有って無いような感じで行ない、社長である優太の父から直々に息子をよろしくと頼まれてしまった。


優太の父が言うには、これからトップを目指す優太には絶対に裏切らない優秀な腹心が必要だと言う事だった。

それには俺の様に子供の頃から仲の良い、優太を想う友人が適任だと。


俺は優太の父に頷いて誓った。


「俺も弟も子供の頃、優太の優しさに助けられたんです。あの時の恩は一生忘れません。親友でもある俺が優太を裏切る事は、絶対に無いと誓います」


優太の父は笑顔で頷く。

そして俺は後から入社した弟と共に、優太を懸命に支え続けて行くのだった。


優太と俺は永遠に親友だ。

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さなぎから蝶になった僕と不幸になった幼馴染 ぴっさま @mkanexyz

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