第14話 親友の危機
あれから俺と優太は親友とも呼べる仲になっていた。
優太は外見は少し背が低くてぽっちゃりはしているけど、実は勇気と慈愛に満ちあふれている男である事はわかっている。
俺は優太の父にも改めてお礼を言った。
私は何もしてないよと笑いながら言っていたが、詳細は明かせないという事なんだろうと思う。
俺は今後、優太に何かあったら絶対に力になると誓った。
俺は親に少し無理を言って、優太と同じ高校に行く事が出来た。
同じクラスになれた俺は、優太の幼馴染を見て悪い予感を拭えなかった。
優太と付き合っている大谷麗華は、同じ学年でも有名になっている美少女だ。
片や優太はその大谷よりも背が低いぽっちゃり体型。
誰がどう見ても外見では釣り合わないだろう。
だが真の価値を知っている俺からすれば、大谷の方が釣り合ってない様に思える。
俺が女なら優太の外見よりも、絶対にその心優しい中身に惚れる事だろう。
だが、その心配事が現実になる事が起きてしまった。
ーーーーー
「大谷さん、テニス部の赤羽先輩に告られたらしいよ」
「えーっ、羨ましい! 本当なの!」
「うん! 昨日の放課後に見た人がいたらしいよ」
俺はまさかなという思いでそれを聞いていたが、妙な胸騒ぎを覚えた。
登校した優太に聞いた事を教えても、優太は大丈夫だと大谷の事を信じ切っている様だった。
後から憔悴した優太に聞かされた話では、大谷に付き合いを無かった事にされたらしかった。
まさか優太を捨てて、赤羽先輩を取るとは……
その後、優太への悪い噂をばら撒く奴が現れ、被害者とされる大谷も否定しないので、悔しいが誹謗中傷の噂が定着しつつあった。
俺は優太にお前を信じてると告げ、周りから庇いつつも危機感を強めた。
赤羽の所属するテニス部辺りが必ず何か仕掛けてくると踏んだ俺は、教室に貯金をはたいて買った監視カメラを仕掛けておいた。
これで嫌がらせをしてくる奴がいれば特定出来るだろう。
優太を傷付けようとする奴は俺が絶対に許さない。
ーーーーー
ゴールデンウィーク明けから、優太の持ち物や机に落書きされる様になった。
俺は怒りで我を忘れそうになったが、ここは冷静になって優太の父に報告して力を借りようと連絡を取った。
家の近所で父親を待ち伏せしていたが、優太の父は俺の事を覚えていてくれていて、俺の話を真剣に聞いて手を打つと約束してくれた。
それから少しして、優太の父が何かやったのかテニス部のコーチだった担任が学校を辞め、学校側が虐めは許さんと宣言してきたので、俺は匿名でテニス部員が優太の机に嫌がらせをしている証拠を提出して、赤羽の手先になっていたテニス部員を退学に追い込んだ。
また、放課後に弟と協力して赤羽をマークし、複数の女と会っている証拠を得てこれも学校中にばら撒くと、予想通り赤羽が複数の女に手を掛けているとの噂が立った。
それでテニス部の力が弱まったのか優太に対しての噂や嫌がらせは鳴りを潜める事になった。
優太自身も引っ越しもして大谷を吹っ切れたのか、優太を最初から庇ってくれていた別の女子と仲良くなっていたようだった。
その後、優太の父との情報交換で俺のやった事を告げ、向こうからも優太から相談があったので徹底的にやったと、ついでに赤羽の父が経営している病院も不正を糾弾する予定なので、いずれ潰れるだろうと言う報告を受けた。
どんな事をすればそうなるのかわからないが、相変わらず凄い力だと感心した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます