第48話 プロポーズはアウロの森で

結婚式で使うドレスが出来上がってきた。シャスの糸で作ったドレス。キッドの衣装もシャスの糸で作った。


「キッド、アウロの森に行きたいの。キッドと会ったあの湖へ。」

『うん。オレからもフィーに話があるんだ。』


キッドとアウロの森へ行く。移動した拠点で一泊して、2人が会った湖へいく。ハンモックに揺られ、キッドと寄り添う。


『フィー。アウロの森からでるとき、貴族に戻るつもりのないフィーに婚約者になれば政略結婚をしなくてもいいと言ったよね。』

「うん。」

『フィー。あのときは、フィーを自由にさせてあげたかった。その気持ちに嘘はないんだ。…でもね、フィー。フィーを誰にも渡したくないんだ。』

「キッド。」

『フィー、愛してる。オレの奥さんになって。』

「はい。私もキッドを愛してる。ずっと、キッドが好きだった。早く大人になりたかった。」

『フィー』


抱きしめられて、キスをした。

嬉しい。ちゃんとキッドに大人として見てほしかった。


ドレスも作ったし、結婚式の準備もしていた。キッドと結婚するんだってわかっていたけど、キッドの気持ちがわからなかった。大切にしてもらっているのは、わかっていたけど、大人として見てもらえているのか不安だった。


『フィー、愛してる。』


キスが深くなる。

嬉しくてたまらないけれど、恥ずかしい。


キスが離れて、キッドに抱きついた。顔をキッドの胸に埋める。


『フィー?可愛い顔を見せて?』


胸の中からキッドを見上げる。

また、キスが深くなる。


恥ずかしくて、でも幸せで。

疾風は、幸せを呼んでくれた。もう戻ることないあの神社。湖の向こうには、桜によく似た木が花を咲かしてる。


ハンモックに揺られ、キッドと過ごす。


今だけは、すべてを忘れて。


_______________婚約編 完





アウロの森の公爵令嬢に出会っていただきありがとうございました。


婚約編は終了になります。ゆっくりな更新になりますが、これからもアウロの森の公爵令嬢を楽しんでいただけると幸いです。


読んでいただきありがとうございました!

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アウロの森の公爵令嬢 @emattun

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