殿下からフィーが作った状態異常ポーション良が効き、魅了がとけたと連絡があった。

お礼にフィーに会いたいと遠回しの表現だが綴られていた。公爵と相談したが、婚約者がいなくなった殿下とフィーをあわせるのは危険ではないかと判断した。結婚を早める必要がありそうだ。

王家のゴタゴタに巻き込まれるのはごめんだ。公爵より、公爵と夫人の結婚の経緯を聞いた。夫人は、陛下と結婚するはずだったが、王妃が陛下に一目惚れしたせいで婚約を解消したそうだ。陛下は夫人を愛していて、側妃になってくれないかと夫人に頼んだが、夫人は陛下を信用できなくなっていた。

公爵がずっと幼なじみの夫人を思っていて婚約者を作っていなかったことを知っていた前公爵は、公爵に婿入りしてくれないかと頼んだ。

夫人は、前公爵の決めた人と結婚すると前公爵に言い、アスシオンの別荘に引き込もった。王妃からの嫌がらせを受けていて、王都は危険だったらしい。

フィーが行方不明になる前、陛下から殿下と婚約の話があった。公爵は、夫人をなくしたばかりで、フィーを守る方法を探していた。陛下からフィーを王妃から守るためにも殿下と婚約しないかと言われ、婚約をする方向で話がすすんでいた。今、考えるとなぜそんな口車にのったのか、公爵自身もわからないそうだ。王妃から守るために殿下と婚約なんて本末転倒だ。

フィーを１人にし、あんなことになったのだ。

王妃から狙われ、アスシオンにいた夫人、アスシオンで虐待されたフィー、フィーが心配だったが王都から帰れなかった公爵。

理解できない言動の女、女に魔道具を渡した旅人、旅人と姿をくらましたフィーを虐待していた女の娘、行方不明の王宮医師。

今だ夫人に未練のある陛下、夫人への嫉妬をフィーに向ける王妃、フィーを狙っている殿下。

フィーを王家に渡すものか。

何年もかけ、大切に守ってきた宝物なのだから。