第4話 今後と食事
「言質はとったからね。」
そう言ってシトリーは笑うと一転して気まずそうに口を開いた。
「カッコつけた手前申し訳ないんだけど、融通が効くとは言っても最低限の知識と技術は持ってもらわないといけないんだ。」
なるほどつまり私に勉強しろと。ムリだね!いやだって、文字も読めないんだよ!それに今の私は平均以下の体力だし…今からでも断れないかな〜、無理なんだろうな…
「そんなあからさまに嫌そうにしないでくれよ、私だってネチネチ文句言われたくないんだ」
額に手を当てながらシトリーも嫌そうに言った。
「ともかく、目的地に着くまでには3ヶ月はある。その間なるべく分かりやすく教える。もちろん、勉強以外のこともな。ともに地獄を過ごそうじゃないか」
はぁ、やるしかないのか〜。今から憂鬱だ。
お互いに憂鬱そうな顔をしていると焚き火が小さく爆ぜた。
「まぁ、今日は夜が遅いから始めるのも明日からだ。今のうちに体と頭を休めておくとしよう。」
そう言うとポーチから干し肉らしきものを二つ取り出し、片方を私に渡した。
「まともなお肉は初めて」
そう言うとシトリーは首を傾げすぐに得心を得た顔をした。
「安心しな、食べても誰も怒らん。向こうについたらそれよりももっとうまい飯だって食える」
その後も少し雑談をしながら干し肉を食べた。初めて食べたまともなお肉は塩だけで味付けがされていて塩辛かった、それでも、忘れることができないほど美味しく感じた。
食事が終わると、二人は深い暗闇に意識を落とした。
何も見えない暗闇の中、微かにまた、鎖の音が聞こえた気がした。
《翌朝》
肌寒い寒さと、眩しさに目を覚ました。
昨日はご飯を食べたあとすぐに寝たんだったな。シトリーは…まだ寝てるし、起こしたほうがいいんだろうか。
そんな事を思案しているとストリーから話しかけられた。
「おはよう、星香。日の下で君を見ると今でも君が男だと信じれないよ」
朝から失礼だな!というか寝てたんじゃないのかよ…
「おはよう。何度もいうが正真正銘私は男だ!なんで、縄で縛るとき気づかなかったんだよ…」
「幼いからよくわからなかったんだ!君だって寝ている間に体を弄られたくないだろう?だから、私は悪くない」
そもそもだね、となおも続けて言う。
「起きてからも女の子のような声と口調で喋られて勘違いしないほうが難しい。なんで女の子口調なんだ」
「なりたくてこんな口調になったんじゃない!察して!」
お互いに自分の意見を言い合い、睨み合った。そして…
「「ぷっ!アッハハハ!」」
声を揃えて吹き出した。
「こんなに賑やかに朝を迎えたのは初めて」
「そうか。わたしもこんなにすぐに君が心を開くと思わなかったが、楽しいものだな」
そうしてひとしきり笑い合うと、同時にお腹がなりまた二人は笑うことになった。
不思議だ、昨日あったばかりだと言うのにこんなにも居心地がいいなんて。私の判断は間違ってなかったかな。
私の考えなどつゆ知らず、シトリーはポーチからパンとチーズを取り出した。
「そのポーチどんだけものが入ってるの?」
「あぁこれかい?これはちょっと特殊な材料で出来てるから見た目より多く物が入るんだ。今はリュックと同じぐらいの量が入ってる」
そんな代物見たことも聞いたこともなかった。そんな物があるなら、もっと広まってそうだけど。
私の考えを見透かすように苦笑しながら言った。
「言っただろう、少し特殊な材料で出来てるんだ。だから、あまり出回らないんだ」
「それを巡って争いがおきそうだね」
「偶に奪い合いが起きてるよ。そんなことより食べよう。今日から忙しくなるんだからね」
そう言うとパンに齧りついていた。
その姿を見ながら今後に思いを馳せ私もパンを食べ始めた。
《あとがき》
今回も読んでいただきありがとうございます!
星香もだいぶ感情が激しくなってきました。いったいあのバックは何で出来ているのか気になる…
とまぁ、次からは移動編です。次回があればまた次回に…
忌み子は生きてていいと言われたい @tyagasiya
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。忌み子は生きてていいと言われたいの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます