夏みかん

多田いづみ

夏みかん

 夏みかんは、初夏に出回るくだものだ。

 名前からしてその時期に実る、そういう種類のみかんだと思う人もいるかもしれないが、そうではない。

 夏みかんも、ふつうのみかんと同じように、秋ごろに実る。が、実ったまま年を越させ、春になってからようやく収穫、出荷される。

 どうしてそんな時間のかかる面倒なことをするのかといえば、熟成させて酸味を抜くためだ。さらに甘みを足すために、倉庫で熟成させることもあるらしい。

 逆に実ったばかりのものは、酸っぱすぎてとても食べられない。

 これはわたしがまだ小さかったころ、近所に生えていた(黄色く色づいて美味そうな)夏みかんを勝手にもいで食べてみたことがあるから、間違いのない事実である。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

夏みかん 多田いづみ @tadaidumi

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ

同じコレクションの次の小説