救いようのない暗さ。


 破綻した兄に激しい暴力を振るわれる弟。
 両親はとうに消え、自分が何かの弾みで殺されるのも時間の問題。

 極限状態の彼に、悪友はある店の話を持ち出す……


 終わりもそうなのですが、始まりから一貫して続く「暗さ」の描写が随一。
 冒頭から「自分が主人公でなくて良かった」となりますね。それくらい「ボコり慣れている」描写が出てくる。
 破綻した人物の家族になる。これだけでまあ、救いがない。

 嫌だ、嫌だと思いつつ読み進め、嫌だ……で終わります。
 最初から飛ばさずに読むと、物語の先に起きるであろうことも含め、嫌さ加減が倍増することでしょう。

 背中に汗が流れたのは、夏の暑さのせいなのか、この作品のせいなのか。