※読み合い企画からのレビューです
二人の主人公、詩織と美羽
医学部にて医者を目指す二人だったが、必死に努力して食らいつく詩織に対し、美羽はどこかやる気がなく──という導入から始まる本作品は、「価値観の違い」をテーマにしている
真面目に医学を志す詩織に対し、美羽は一見不真面目に見える
しかし、彼女には彼女なりの価値観があり、理がある
本作品は、前半が詩織視点、後半が美羽視点なのだが、美羽視点になった途端に読者は理解する
詩織は、美羽のことを、何も知らなかったのだと
価値観、性格、趣味──あらゆるものがすれ違っていた二人
そして、衝撃的なラストでも、そのすれ違いが徹底的に描かれる
だが、それこそが人生だ
私たちも同じではないだろうか
親友だと思っている相手とて、すべてを知ることはできない
詩織と美羽のように、すれ違っているのかもしれない
そう考えると、互いに理解し合うことが尊く感じられる
レビュー者は、本作品に人生の縮図を見た
あなたは何を感じるだろうか
さっくり読める短編なので、是非一読してみてほしい
皆が羨む私立医学部に入学した詩織と美羽。
過酷なスケジュールで組まれる講義と厳しい試験が容赦なく二人に降りかかる。
進級に向け勉強をする二人だったが、心の消耗によるものか、内向的な美羽が本心を垣間見せる。
この行動がとある事件を引き起こし……
・
「禍福は糾える縄の如し」という言葉がある。
幸福と不幸はより合わせた縄のように絡み合い、どう転ぶか分からないことを指したものだ。
この作品は詩織と美羽の建前と本音、周りの環境が影響しあい、一般的に「幸福(不幸)」とされることが、そう呼べなくなっている。
物語の進行とともに、彼女達の立ち位置が刻々と変わっていく。物語の先でも禍福の行方は分からないままだろう。
色々な読み方ができる、良い短編ドラマだった。