未来と繋がるスノードーム。切ないくも共感してしまうSF短編。

 まず冒頭で「私」が感じている社会への疲れと煩わしさに頷いてしまう自分がいます。

 各々の境遇や感じ方、それに対するスタンスに違いはあるでしょうが、世の中にこの手のストレスを言語化できてしまう「私」はきっと不幸な人間なのでしょう。何となくでは済ませられない不満からは逃れる術がありません。

 スノードームの雪に閉ざされた世界を気に入る「私」

 それが戦争の末の終末世界だったと知る「私」

 一般的には何だかんだ不満がありながら、それでも「元の世界が良かった」という後悔の話になりがちなところですが、「私」はやはりこちらが良いというところが素敵です。

 灰の降り積もる世界に安らぐ「私」

 これはバッドエンドではないと、個人的には思います。

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