そしていつか

 神様は意地悪だ。



 だって、本当に欲しい物と、貰えるものがあまりにも違いすぎるから。



 そんなことを嘆きながら少女は、生きてきて。



 そうして、幾許かの月日が経った。



 少女が、もう少女とは呼べなくなるくらい。



 それなりに誰かと出会い、それなりに誰かと別れた。



 たくさんの傷を負って、たくさんの痛みを越えた。



 生きてきた意味はあったのかと、かつての少女に問うてみても未だに彼女は首を傾げるばかり。



 あの夏の日、やっぱり飛び降りておいた方がよかったんじゃないかなと、少女は時々、想ってしまう。



 その問いの答えは、今日まで歩いてきて、結局どこにもみつかりはしなかったけど。



 それなりに生きながら、それなりに休みながら、少女は今日、まだ生きている。



 時々、彼女がいつかかけられた祝福呪いの言葉を想いだしながら。



 眼を閉じればまた夜が来て、夜を越えたら同じように朝が来る。



 それを何度となく繰り返し。



 それでもまだ、息をして。



 彼女へ贈られたいつかを胸の奥に大事にしまったまま。



 いつか、きっと彼女のことを待っている誰かに会えるから。



 いつか、きっと生きていてよかったと笑えるようになる日が来るから。



 そんな宛てもない祈りを胸の中に抱いたまま。



 今日、この場所でまた、彼女はそっと息をする。



 そろそろ蝉が泣き始める、そんな夏がやってくる。



 いつか彼女に祝福願いを貰った。



 そんな季節がやってくる。

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どうか君へ呪いのような祝福を キノハタ @kinohata

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