空時雨の無情
奈倉まゆみ
空時雨の無情
神様が
ながす涙と
「
泣いてばかりね
私と同じ
包めども包みきれないこの想い
井堰越ゆるな大井川
土砂降りの
好きとの独白
雨に溶け
川に流れて
君に届け
霧雨に舞うを忘れり
春風のようだと君が喩えたスカート
君が引く
手の冷たさが
心地よく
必死で走る
ゲリラ雨
「やまないね」
じっと空見て
(やまないで)
パフェのアイスの
溶けたるを混ぜ
「雨女だね」と言う君
「そうだね」と頷く私と君降らす雨
雨音が枕に響く深夜二時タタントトトンざあざあざざざ
雨ざあざあ
何も見えない聞こえない
昨日の私も洗い流して
ガラス越し
濡れそぼる木々
生き生きと
しょげる私も
濡れてみようか
雨上がり
甘く咲きたるくちなしの
群れてほほえむ
まだ進むの?と
ワイパーが
雨を掻き分け
みぎひだり
見えるようで
見えない行く手
糠雨に
今宵は誰が
あなたを抱くの?
ちはやぶる天の河原のたおやめの
機織る音は雨に消されて
あじさいの
心はいずこに
染まりゆく
私はその色が
好きだというのに
夕立に歓喜をあげる雨蛙
空の恵みの満ち満ちたるや
どうどうと
雨を集めて
猛くなる
その流れざま
神の隠るる
雨宿り
やしろの神よ
聞き給え
愚かな恋と
笑いめさるな
幼き日
傘をくるりと
一回し
魔法がかかった
私は無敵
今日も雨
愚痴に頷く
ルーティーン
肩を引き寄せ
相合い傘
空時雨の無情 奈倉まゆみ @nakuramayumi
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