第2話 耳かき
「右耳からね、じゃ、入れるよ」
耳かきスタート
「どれどれ〜・・・って」
「うわぁ!ちょっと急に暴れないでよ。危ないでしょ。鼓膜に刺さったら大変なんだから!」
「『まだ、豚骨醤油の匂いがする』? そんなの当たり前でしょ。数日間たっぷり豚骨醤油に漬け込まれてるんだから簡単に臭いなんて落ちないの!」
「お客様ぁ〜そんなに嫌そうな顔をされましても、キャンセルされた場合キャンセル料として、先程渡した封筒も頂きますががよろしいでしょうか?」
「弟よ、卑怯とはいうまいな」
「よろしい、じゃあ、じっとしててよ」
間
「・・・それにしても、最後に耳かきしたのいつ? 凄く汚いよ。私の部屋くらい、うん、そうそう、耳の皮膚が見えないくらい汚れてる・・・」
「ちょっと……ただでさえ汚れてるのに小刻みに震えないでよ。耳かきしづらくて仕方ないの!」
「えっ、『動いてない』?」
「・・・ああ、そっか。ちょっ待ってて」
耳かき停止
プルタブ開ける音
喉越しASMR
「ああぁー。これでよし、そのうち収まるでしょ。じゃ、耳かきの続きするから」
耳かき再開
「ん〜、私って自他ともに認めるアル中じゃん。だから体からアルコールが、抜けると指先がプルプルするの」
「・・・ん?別に生活に支障はないから大丈夫よ」
「でも・・・こうやって・・・」
「・・・繊細な作業をしてると・・・」
間
「ああ! 小さいのが奥の方に落ち・・・ない。セーフ」
「・・・えっと、だから、耳かきくらい繊細な作業はある程度お酒を飲まないとやりにくいの!う〜ん、もう一杯!」
プルタブ開ける音
喉越しASMR
「っ、あぁ~!『お酒を飲めば手が震えなくなるのか』?」
「うん、そうらよ」
「昔調べたんだけど、確か・・・」
「体からアルコールが減ることで交感神経がおかしくなって手が震えるんだって」
「ふふふ、アルコールはもう体の一部なんだよ!」
「脱水症状ならぬ脱アル症状ってことだね」
「体もポカポカしてきたし膝も温まってきたでしょ」
「それよりどう、豚骨醤油耳かき棒。だんだんいい匂いになってきたでしょ!」
「『それってあなたの感想ですよね』って、言うようになったじゃない」
「ナニゆきの真似だぁ~、耳の中ぐりぐりしてやる!」
音強めで
「鼻がずっと嫌そうにヒクヒクひてるけろ〜、顔はトロ〜ンってしてう」
「もしかしてこれくらい強い方がいいの?」
「やっぱり、気持ちいいんだ!強くした方が耳垢も取りやすいしこのままやりゅね」
長めの間
「よし、全部取れたぁ〜、後は梵天で・・・、もう、だから暴れちゃダメって言っへるでしょ」
「もう、黄ばんでらいから大丈夫。漂白剤のおかげれぇー、まっひろになりましたぁ〜」
「どぉ〜、この辺とか、あとこっちも〜」
耳かき終了
「よし、きえいになったぁ〜」
プルタブ開ける音
喉越しASMR
「ぷふぁ〜、結構楽しいし耳を掃除するだけでいいんらから、耳かき屋さんって楽らね。来週からずっとお金じゃなくて耳かきにしてあげよっか?」
間
「『豚骨醤油耳かきに一万円の価値は無い』れすって!?」
「え〜、じゃあ、何すればいいにょさ?サービスの充実?」
「・・・まずは『耳ふぅー』」
「吐息ってこと? そんなのがいいの?」
「じゃあ・・・」
耳ふぅー:お好みの回数で
「どうらった?」
「・・・『酒くさい』?」
「ん〜、しょうがらいれしょ! ストヘスと戦う大人の吐息はねぇ。みんなおしゃけの匂いらの!」
「ほら、サーミスしたりょ!」
「まら、足りらいの?『むしろ減点』!?・・・なんれぇ〜」
「他に何すればいいのぉ〜、『耳のマッサージ』、『オノマトペ』?・・・マッサージは分かりゅけどオノマトペって擬音のことれしょ?」
「へぇー、耳もとで擬音を囁けばいいの。ふ〜ん」
「じゃあ、ほい、上向いて、両耳マッサージしながらオノマロペだぁ〜」
「でも、その前に1杯」
プルタブ開ける音
喉越しASMR
「ぷふぁー、ん、何? 『飲みひゅぎぃ』、『酔っはらってる』? 酔っへない、酔っへない。ハイボーリュなんてお水みたいなもんらから、ヒック!」
「それしゃあ、マッサージとオノマトペ始めるよ」
耳のマッサージ開始
マッサージのオノマトペ開始
(ピトピト)とか、(にぎにぎ)とかそんなの
長めの間
「気持ち良さそうらね」
「なにぃぃ〜!『豚骨醤油の匂いがしなくなったから』?」
「豚骨醤油は最高の匂いれす!それだけは譲れらいのぉ〜!こうなったら洗脳してやりゅ!!」
オノマトペ終了
(豚骨醤油)とか(ズルズル)とか(3分)などの囁きに変わる。
マッサージ終了
囁き終了
「どお、豚骨しょうう魂は燃え盛った?」
間
「なんりゃとぉ〜、じゃあ、もう一回だぁ〜」
再び豚骨醤油囁きと耳のマッサージ
「今度こそぉ〜、燃え盛ったぁ〜?」
「ムフフ、よりょしい。じゃあ、次はぁぁ・・・」
溜めてからのプルタブ開ける音
喉越しASMR
「あぁ〜、コレだよね〜。理解者を増やしたあとの酒は美味ひ。ああ、はいはい、次は反対の耳かきらね」
「だから、酔ってないって言ってるれしょぉ~。あれ右?左?どっちらったけ・・・ああ、左かぁ~」
「・・・別にこれはよっはらったからしゃないからね!」
「ほら左むけぇ~!」
「ひょく聞きなしゃい。左耳がふたちゅに見えたらわたひはよっへる。でも弟君の左耳はぁ〜二つじゃありましぇ~ん。だからよっへないにょ」
「う〜〜ん」
間
「ど・れ・に・ひ・よ・う・か・にゃ・へ・ん・の・か・み・さ・ま・の・い・ふ・と・ほ・り。よひこれだ!」
耳かき開始
「『何ひてるのか』っへぇ~、あんたの左耳が六つもあるのが悪いんれひょぉ! もう、どれからきれいにしようかまよっひゃうよ」
間
「らからぁ~、弟君の左耳がぁ~二つに見へたらよっへるっていっへるれしょぉ~」
「うわぁ。もう!あばれないへ。『もうやへるぅ~』『ひゃんせるりょふもはひゃう』?らめぇ〜。たにょしくらってきたからぁ~。もっとシャーヒスすりゅのぉ〜、もふヒャンヘリュ(キャンセル)できましぇぇ~ん」
「にゅふふ、ましゃかぁ~ひきょうとはいふまひぃなぁ〜」
「しょれでぇ~、後はどんなサーミスして欲ひいのかにゃ?」
「もういいにょ、えぇ〜たのひくらってきたのにぃ〜。フフフ、でもぉ、インターネットで調べちゃうもんねぇ〜」
耳かき停止
プルタブ開ける音
喉越しASMR
「ぷふぁ〜、えっとぉ〜、しゃしゃやき?豚骨醤油はダメなにょか・・・あとは・・・へぇ〜こんにゃのもあるんだ」
耳かき再開
「えっとぉ〜、さっき掃除してた耳はどれらっけ?今度は八個に増ええう。もう、耳を増やすのはらめなしゃい」
「どれでもいいや、えーい、あれ?これ、わたひぃの膝?もう、避けないでよぉ〜!」
「『もっと右上の耳』?ふ〜ん、じゃあ・・・コレだ!」
「よし、今度こそお耳を捉えたりぃ〜」
「それじゃあ、続きやりゅね」
(好きぃ)と(大しゅきぃ〜)の囁き連打。
「お顔真っ赤ぁ〜。お姉ちゃんにぃ〜しゅきって言われてぇ〜、恥ずかひいのぉ~」
「わたひぃ?わたひわぁ〜、別に恥ずかしくないにょ〜。こんにゃにぃ〜面倒見がよくてぇ〜、お部屋片付けるのが上手な弟がぁ〜だいしゅきだから〜」
「(好きぃ)って言うの別に恥ずかしくないにょ〜」
耳かき終了
囁き終了
「はい、これでぇ〜耳かきおしま〜い」
「後は梵天だぁ〜、あれ、キレイにした耳はどれリャたっけ?」
「12分のいちぃ〜、どぉ〜・りぇ〜・に・ひ・・・『右上のやちゅ』?ん、わきゃった」
囁き再開
「両耳ばっちりキレイになりまひたぁ〜」
「でもぉ〜まりゃ起きちゃらめぇ〜、もう1つさっきみちゅけたことやりゅかりゃねぇ〜」
プルタブ開ける音
喉越しASMR
「っあ〜!ふふふ、お耳ぃ〜、舐めてあえる。おしゃけ・・・たっぷりのぉ・・・ひやとりょ・・・耳・・・舐・・・めぇ〜・・・」
布が擦れる音
倒れ込む音
「zZZ」
間
「おしゃけぇ〜・・・」
長い間
朝を知らせるチュンチュンってやつ
「ううう、頭痛い。ねぇ、私って右耳キレイにしてあげたあとどうしてた?」
「調子乗ってお酒飲んで・・・でも、耳かきが楽しくなって・・・」
「『また、耳かきして欲しい』?・・・別にいいけど・・・『お酒抜きで』ね。わかったわ。豚骨醤油は?・・・それもダメかぁ〜」
「・・・うぷ、ちょっとトイレに着いてきて背中さすってぇもう無理」
ドタバタ音
酔っ払い姉の濃厚豚骨しょうゆ耳かき ちゃんちゃらめ @tyantyarame
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