戦場に行った兵士の物語
弥生
戦場に行った兵士の物語
銃抱え 手のひら見つめ 虚無を知る
撃った感触 すでに残らず
連絡で 戦場離脱 野営地に
トラック荷台 詰め込まれたる
正当な 防衛だった 上官は
「逃げない民が 悪いのだから」
銃弾に 倒れ伏したる 影、小柄
見間違えたか 唇を噛む
銃構え 視界の端を 横切るは
反射に任せ 撃ち込んでいた
敵を撃て 敵だけじゃない 動くもの
全てが敵だ 叩き込まれた
爆撃と 反撃酷く 混戦に
昨夜生きてた 戦友は死に
説明で 次行かされる 場所を知り
最前線か 遺書を書きたる
戦場で 焼ける匂いと 現実に
打ちのめされて 吐くばかりかな
訓練が やっと終わりか 崩れ落ち
渡された紙 召集令状
厳しくて 逃げ出したいと 袖濡らし
ここで耐えろと 自分を
訓練で 教えられるは 潰し方
敵の
同室は 「守るために」と 志願した
苦楽共にす 友とならんや
苦笑い 奨学金の 給付だよ
兵士になれば 大学行ける
同室の 訓練兵が 問うて来た
「どうして兵に 志願したのか」
将校は 予備兵だから 戦地には
行かぬだろうと 説明を受け
軍隊の 説明会で 戸惑った
明るい未来 希望があると
学校に 奨学金が 出る職場
訓練だけで 支給されると
「大学は 無理そうだから あきらめて」
兄の学費に 弟妹もいる
本当は 人を助ける ヒーローに
憧れた子の 未来の話
戦場に行った兵士の物語 弥生 @chikira
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