一途
かけがえ
一途
「金槌で画面をぜんぶ砕いたら深淵に行くからちょい待って」
退屈と時計と嘘に縛られる 終わりは見えず怯えて生きる
要するに試行回数の問題 あざ笑う過去ぐるぐる回る
高ぶった勢いのまま一本目 厳しく叩くコンプレッサー
「手は後ろ、音は立てない 約束はこの二つだけ簡単でしょう?」
魂の浸透圧が跳ね上がる 言葉は超えた喧騒が止む
輪郭を衍字でうめて許される 証拠隠滅 生暖かい
蝋燭が傾き歪む心には 二本目が要る業突張りで
「花を折る音は覚えた?終わったら栓しとこうね痺れる前に」
こぼれ出る黒歴史こそ面白い 一途と嘘を飲み干す舞台
宙に浮くコンクリートの残響と七メートルの幾何学模様
倣うのは三本目まで 洗うのは織り込み済みの遊び半分
「怖いなら目は閉じたまま正座してなぜ生まれたか思い返して」
最高の笑顔と夜を作るのに必要だから唇を縫う
鈍色は噛めば噛むほど砂の味 末路ではない二人の禊
四本目 舌を貫く愛の針 真に受けて食う売られた倫理
「プッシャーと付き合っていた頃だった40kgを切っていたのは」
刻まれた無知の痛みが揺らいだら 満ちた街にはさよならの道
錠前に別れを告げて圏外だ からっぽの花器見つめる殯
ヤフオクで売ってる古いエロ本の表紙を飾る前の恋人
一途 かけがえ @kakega_e
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