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フィニッシュして感じることはいつも同じ。
今日は死なずに済んだ。
コースを
こんなところを走るなんて正気の沙汰じゃない。いつもながらそう思う。
そしてゴール・エリアから出れば、すぐそばにはいつでもあなたが待っている。
離れていた時間なんて、ほんの僅かなはず。なのに顔を見るのが、ひどく懐かしい。
私たちはお互いの走りが見えてる。だから
だからかける声はいつも、
「おめでとう」
この言葉だけは、不思議なほど素直に口にできる。
かつての私は、走り以外のことは面倒くさくて仕方がなかった。
マスコミへの作り笑い。
スポンサーへの堅苦しい礼儀作法。
ファンへのサービス。
エントリーのための、ひどく回りくどく細かすぎる契約。
あなたと出会って初めて、その全てが意味あるものと実感できた。
全てはあなたを叩きのめすか、できることなら消し去るため。そう思うだけで、不思議と雑事を真剣に取り組めるようになった。
私たちの関係を形容するならば、光と影が最もふさわしいだろうか。
お互いの存在がなければ、どちらもこの世に存在できない。
光がまばゆく輝くほどに、影もまた色濃く暗くなってゆく。
けれど両方が重なることは、決してない。
ならば私は光になろう。誰よりも速くどこまでも高く、この
ならば私は影になろう。何よりも暗くどこまでも低く、この
今日ももうすぐ
あなたと共有する最高に忌まわしい、だけど最高に濃密な時間が終わりを告げる。
いつものことながら感じる。終わってみればその時間の、なんて愛おしかったことかと。
再び顔を合わせるまでの短い休息の時間の、なんて空しく、次の戦いの待ち遠しいことかと。
KAMIMAKZE ~feeling of Ls~ 飛鳥つばさ @Asuka_Tsubasa
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