くすり屋

梶木冴氣

第1話 くすり屋

わがための送別会なるスキーツアー、誘われ跳ねた危険と知らず


犯行の前夜にツアーの宴あり、下戸なる吾への飲みもの決まる


ほんのりと酔ってみたいが下戸である、されど眠れた烏龍茶でも


カラオケにからくりのあり「頑張ります」テロップ見せられ読んでしまった


他の女子はイチゴハイに眠気さす、消灯を監視したのはプロパー


わがための送迎会なるスキーツアーメンバー写真は証拠の箱に


生あらばよしなり程度に作られた性法律は改正すべし


法網を抜けて黒眼をランランと派手に喜ぶ忍者もおりぬ


怯惰とはくすり屋の罪を知りつつも看過しているきみたちのこと


お役所のトイレの内の貼紙は評しんぜよう ワンストップ「SATOCO」


本業より副業の方が利潤らし、くすり屋の妻の友より聞いた


くすり屋は眠りの術に長けている 時にはやかんも忍具でありぬ


くすり屋がおにぎりと称する実態は数種の品をすり混ぜたもの


くすり屋の妻は半分聞かされて「薬店みせでおにぎり握るらしい」と


ウサギらは同じ穴のムジナだと思い込まされてると推測


くすり屋の母の死因は町医者の父の沙汰にて脳溢血と


くすり屋にマスターキーの友おりぬ、ビジネスホテルの庇は今も


ひまわりに罪などないが一滴の雫でさえも怪しくかおる


袴姿の水仙の群れの凛凛しさよ誠の声を叫ばんがごと


憎しみを浄化させんと書き留めし「そいつはレイブ魔」まだ途中なり


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くすり屋 梶木冴氣 @kajikisaki_57

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