「ひとこと紹介」の部分にも書いているように、これは良い話ではありません。七夕のガラス越しの再会というと、織姫や彦星はもちろん、何か恋人たちのいい話なのかなぁと想像してしまいますが、断じてそんなことはありません。
苦手な方は遠慮した方がいいかもなぁと思いますけど、個人的には絶対に読んでほしいです。このレビューか、作品のページを開いたら絶対に読んでほしい。
今時、台風をはじめ自然災害、とても多いです。
今までここら辺はこんなことなったことないから大丈夫、じゃダメなんです。
改めて命の重さ、そして、無力さを痛感させられます。
人間は無力ですが、無力なりに頑張らないといけないんです。
色々なことを気づかされる一作。ハッピーエンドとか言うのとは違うし、今時の流行とも離れている。それでも、僕は自信をもってこれを推薦します。
七夕の日、水害で夫を失った妻の物語。
何気なく過ぎていた日常が、ある日突然失われてしまう。それはもしかしたら、自分の身に降りかかることかもしれないけれども、どこか他人事のようにも思ってしまうもの。そんな物語を、リアルに丁寧に描かれています。
夫を失った妻は、しばらくのあいだ意気消沈してしまいますが、毎年、七夕になると不思議な出来事が起こると気が付きます。その不思議な体験を通じて、過去を知り、何気ない幸せを感じていた日常を知り、ゆっくりと前を向き始めていきます。
辛い出来事があったとしても、人はそれを乗り越え、前へ進める強さがあると信じたくなる物語。悲しいけれども、希望を忘れたくない。想いの込められた物語です。
七夕の日、水害があった。
多くの人が犠牲になり、多くの人が「遺族」と呼ばれるようになった。
フィクションだけど、すごくリアリティのあるフィクションで、日本のどこかにこんなご夫婦がいらっしゃるなぁ、と涙ながらに読みました。
丁寧に書かれた情景描写と心情描写。
エピソードが進むうちに、離れてしまった二人の距離がどんどん近づいていく。
二人の心がどんどん触れ合っていく。
七夕に亡くなった夫とその妻の話です。
最近も大雨で甚大な被害が出てしまった地域があります。
第一話の
「必ずここからお読みください」を読んで、作者様の想いに共感しました。
災害に遭われた皆様に心からお見舞いを申し上げます。
また、災害で亡くなられた方のご冥福を、心よりお祈りいたします。
大切な人と、いまこの時を生きれることに感謝して。
日常の当たり前のありがたさに感謝して。
ぜひ、多くの方に読んでいただきたい作品です。
豪雨による洪水や土砂崩れで多くの命と平穏な暮らし、風景が奪われました。
西日本豪雨から5年。
ここに一つの家族の物語があります。
フィクションとはいえ淡々と語られる中に、以前の楽しかった生活が見え隠れし、七夕の奇跡の再会は心打たれます。
そしてご主人の覚書のメモ帳、その内容にじわっとくるものがありました。
紀代子さんの視点から、二人の娘さんの視点に変わって、久彦さんの人生、紀代子さんの人生も垣間見れた気がします。
災害の影には、一瞬にして奪われた大切な命や幸せな日常や風景があることを私達は忘れてはいけないと思いました。
そして、今生きていることへの感謝も忘れてはいけないと思いました。
そんなことをそっと教えてもらったような物語です。
災害により、尊い命を失われた全ての方々のご冥福をお祈りします。