【結】 サチ先輩
その城は、駅からバスで30分くらいの場所にあった。
今や観光地に過ぎないが、前世で戦った俺の心に戦場の匂いが甦って来た。
俺と
「ねえ2人は、いつからそんなに仲良くなってたの?」
幸が薄いサチ先輩は言った。
「えーと」
俺と
俺は仕方なく
「先週、
と事実を話した。
「えええ!すっごい急転回だけど!どういう事?
サチ先輩は、かなり驚いたようだ。
そう
そのぱっと見は清楚なおしとやか系の、
現代人が冗談で蹴る蹴りではない。
「いや違うのサチ、学校の食堂でこの子が携帯忘れててね。それを届けに行っただけだよ。そしたらこの子が玄関先で、『僕は前世でお城で処刑されたんです。こんど
さすが【
次から次へと嘘八百が出て来る!
「それは痛いね」
「でしょう、でも折角うちの高校に来て知り合った訳だし、先輩としてほっとけないでしょう?それにサチは心理学に興味が合ったじゃない。サチならこういう痛い子の対応が出来るんじゃないかと思って」
「そうだね。
そう言うとサチ先輩は、俺の頭を撫でてくれた。
そう言えば、殿は優しい人だった。俺は思い出した。
でもこれであの頃の事を話せそうだ。
500年前、殿の首が晒された場所の前に来た。
「ここで俺の殿の首が晒されたんです」
俺はサチ先輩に告げた。
サチ先輩は、ちょうど晒された首があったであろう場所を見つめた。
今は何もない場所なのに。
「なんだろう・・・・凄く、心が締め付けられるんだけど」
一度消された前世の記憶を、思い出す事なんて事はないし、例え思い出したとしても、それが自分の事だと解る訳がない。
その場所をじっと見つめると、サチ先輩は涙を流し始めた。
「大丈夫だよ、ずっとわたしが側にいるから」
と囁いた。
「ずっとわたしが側にいるから」の言葉の後に「もう裏切ったりはしないから」と言いたかったに違いないと俺は思った。
「ありがとう」
サチ先輩は、そう言うと涙を拭いた。
完
疾風迅雷の颯は女子高生のはず! 五木史人 @ituki-siso
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