【転】 疾風迅雷の颯
まるで男子の部屋に始めてきた女子の様に、嬉々としていた。
しかし深夜に、こんなに綺麗な顔立ちの女子が、部屋に来てるって、家族に知れたらどうしよう。
「彼女ですって?」紹介するのか?
そもそも、どうやって入って来たんだ?
窓かな?
城攻めに比べたら、2階建程度の部屋に登るのなんて容易いか。
「あっ
「何でしょう」
まるで美少女の様に。まあ美少女なのだが。
【
と、畏怖の対象だった前世を知らなければ、普通の美少女だ。
こういう時は、前世の記憶が邪魔になる。
「あのわたしと一緒にいた幸薄そうな子いたでしょう」
「うん」
「あの子、幸薄いのに、さちって言うんだ」
「うん」
「あの子ね、実は前世、殿なの」
「えっ!俺の?」
「そう。前世の記憶はないみたいなんだけど」
「ない方が良いバージョンかも」
「飲んでいい?」
「どうぞ」
俺の飲み掛けの!ラブコメだと大変な事件だぞ!
でも相手は、【
そりゃ500年前は生死を伴にして戦場を駆け巡った仲だが。
「
「知らない」
「首が城下で晒されたの」
「あぁぁぁぁぁ」
「だから生まれ変わっても、あんなに幸が薄い顔してるんじゃないかと、生まれ変わっても消せない怨念のようなものだね」
「あぁぁぁぁぁ、忠臣と思ってた家臣にも裏切ららたし」
「それはまあ、わたしにも言いたいことはいっぱいあるけど・・・」
「何?」
「いい?」
「どうぞ」
と言ったものの、それは、俺の夜食のお楽しみなのに・・・
察したのか
「結局、わたしの方が正しかった。あの時、早めに恭順を示すべきだった」
「・・・」
「わたしにだって、当主として守るべき一族郎党がいた」
「・・・」
「いや、良いわ。今言っても仕方ないし」
「・・・」
知略に満ちたその目は、500年前と同じ、敵にしたくない視線だ。
「でね、
「えっ殿の首を晒された城に行くの?」
「そう」
「いやいやいやいや、前世の記憶は100%消えた訳じゃない訳だし。魂のどこかでそれは覚えている訳だし、それは・・・」
「でもわたしの魂がそれを求めているの、何か結論を出さないとって」
「言ったら結論が出ると?」
「根拠はないけど、でも、サチの心の奥にある怯えを取り除けるような気がする」
「勘?」
「そう」
俺は戦場での
その
500年前もそんな事が合った。
あの頃は、
でもあの時俺は、心のどこかで
なのに俺は
心の奥で
「ねっ、一緒に行こう」
と囁いた。
俺の腕に綺麗な顔立ちの少女に生まれ変わった
あれ?
綺麗な顔立ちの少女の胸が当たったって、気持ちは揺さぶられて「うん」って言ったら、俺、クズじゃねぇ?
と思ったが、
「う、うん」
と俺は答え、
「クズめ」
と囁いた。
つづく
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