おまけ

【緊急開催】ゴールデンウィークだ! 漢字源祭り

実況「ん、あれ? なにが始まったんですか、これは」


解説「……とうとうこの季節がやってまいりました」


実況「あ、たかぱしさん。唐突に、どうしたんですか?」


解説「そう、世はまさに漢字源黄金週間ゴールデンウィークです!」


実況「意味も状況も分からない……漢和辞典アワードは1年も前に終了しましたが?」


解説「確かに漢和辞典アワードは終わりました。しかし、漢和辞典界の発展はまだ(もうちょっと)終わっていません!!」


実況「ええー。一度は完結したアワードをこじ開けるのは、どうなんでしょうか」


解説「マナー違反は百も承知! でも、どうしても掴まなければならないビッグ・チャンスが今きているのです!」


実況「はあ。一体なんですか?」


解説「はい! アワード終了後もなんやかんや読みに来てくださる漢和辞典愛好家の皆さんがいらっしゃいまして!」


実況「それは良かったですね。で、それがなんのチャンスなんですか?」


解説「今こそもう一歩踏み出すべきとき!」


実況「いや、どこへ? どこへ踏み出そうとしてます?」


解説「というわけで、いまこの漢和辞典アワードをご覧いただいてる皆さまに朗報です。そう、なんかふらっと間違えて外から来ちゃったあなた!」


実況「間違えてって言っちゃってますよ」


解説「なんとゴールデンウィーク期間中にカクヨムへ新規会員登録をすると図書カードが抽選で当たるキャンペーンがあります!」


実況「おい」


解説「会員登録後は漢和辞典アワードを5話ほど読み、気に入った漢和辞典エピソードの応援ボタンを押し、ついでにアワードの★ボタンをぽちぽちぽちと3回ぐらい押して、『漢和辞典最高!』というレビューを書いて、当選した図書カードでお気に入り漢和辞典を1冊購入しましょう!」


実況「おーい」


解説「さあ、今すぐ登録ボタンを!!」


実況「おいおい! 条件が異様に盛られてるでしょ、それ。★ボタンは『アワード面白いな』と思った方だけが押すやつですよ! それはさておき、公式キャンペーン概要はこちらから確認できます。登録して5話読むだけで図書カードが当たるらしいです。


https://kakuyomu.jp/info/entry/2025gw_cp


カクヨムに登録しても基本タダですし、なんかうるさい通知メールを切っておけばおおむね無害で、お気に入りの作品を応援したりコメントしたりもできるようになります。まだの方はこの機会に是非」


解説「ふふふ、うっかりこのリンクから登録してくれれば、アワードでリワード大量獲得ですよ」


実況「欲望ダダ漏れにすな!! ところで、話はそれだけですか?」


解説「まさか。せっかくのゴールデンウィークですから、漢字源祭りを開催したいと思います」


実況「漢字源祭り?? ゴールデンウィークと何の関係が?」


解説「はい、なんやかんやありまして、うちにある学研さんの『漢字源』が4キロを超えてしまいました」


実況「辞書の単位でキロ使う? っていうか、それ何冊あるんですか?」


解説「都合4冊ですね」


実況「4冊で4キロ超え……え、まさか1冊1キロ……?」


解説「せっかくなので、いろんな漢字源を比較してみたいと思います」


実況「重さを? 重さを比較するの?」


解説「ではさっそく、重さから比較してみましょう!」


実況「本当に重さからいった。えっと、ちなみに、この重さというのは外箱を含めた重さです」


解説「ではまず驚異の1キロ超えハンディ漢和辞典、『漢字源』改訂第六版(以下六版)の重さは……1141グラム!」


実況「おーう、1.1キロ」


解説「続いて、初代『漢字源』無印(以下初版)の重さは……931グラム!」


実況「おおー軽い! ……いや、別に軽くないな……」


解説「実は第六版より読みやすいんじゃね?と思って買った『漢字源』改訂第五版(以下五版)の重さは……969グラム!」


実況「第六版に比べれば軽い、んだけど十分重い」


解説「最後に、まだブックオフの値札がついてる『漢字源』改訂新版(以下三版)の重さですが……1063グラム!」


実況「うわ、二度目の1キロ超え。というか、第五版より重い??」


解説「4冊合わせて4101グラムですね」


実況「改訂を重ねるごとにどんどん重くなるんだろうと思ったんですが、そうでもないんですね」


解説「そうですね。改訂で親字数やページ数が増える一方で、レイアウトの工夫、印刷技術や製本技術の進歩で軽量化もしますから。単純に重くなるというわけではないです。これぞ辞書集めの醍醐味!」


実況「本棚に優しくない趣味です」


解説「それでは続いて、気になる親字数を見てみましょう」


実況「たかぱしさんに任せていると分かりづらいので、一覧形式でどうぞ」


初版 親字 9990字、熟語 55000語(出版年1988年)

三版 親字 12596字、熟語 75000語(出版年2002年)

五版 親字 17362字、熟語 88000語(出版年2011年)

六版 親字 17446字、熟語 96000語(出版年2018年)


解説「このように並べると、順当に増えていることがよく分かりますね」


実況「よくこんなに掲載漢字をじゃかじゃか増やせますね」


解説「そうですね。でもまあ、漢字の総数は5万字とか7万字とか言われてますから。まだまだ増やす余地はあります」


実況「頭が痛くなりそう。ところで、ちょっと気になるんですが」


解説「はい、なんでしょう」


実況「こうしてみると、五版と六版の掲載漢字数って、そこまで大きな差はないですよね」


解説「そうですね」


実況「五版から六版で増えた漢字って、どんな字なんですか?」


解説「…………………………………………分かりません(´-ω-`)」


実況「え、分からないんですか、たかぱしさん」


解説「分かんないですよ! たった84字しか増えてないのに! 17400字の中から増えた84字なんて、そうそう見つけらんないですよ!」


実況「そこはぜひとも見つけてほしかったです」


解説「無茶だよ!?」


実況「ふーん。意外と根性がないですね、アワード調査班」


解説「……くっ。いいぜ、やってやろうじゃないか」



~少々お待ちください~



解説「……み、見つけた。五版から六版で増えた漢字見つけましたよ!!」


実況「あれ、たかぱしさん。三日ぶりですね」


解説「いや、ほんと、見つけるのに三日ほど費やしてしまいました! ゴールデンウィーク前半が蒸発しました!」


実況「なんとも無駄な休日の過ごし方ですね」


解説「ほんとですよ!!(怒)」


実況「で、84字見つかったんですか?」


解説「いえ、あの、40個ぐらいですね」


実況「なんだ、半分ですか」


解説「いやもう、ほんと勘弁して……」


実況「それで、どんな漢字だったんですか?」


解説「こんな感じです」


たぶん五版には載っていなくて、六版には載っている漢字(読みは漢字源による)

カン・ゴン𣎳ヒンジュウジュウの本字およびぐうのあしのつく漢字の本字や異体字×6、ケツ・ケチ𠬪ヒョウ・ビョウ壳󠄂カクの本字、𣦼サン・ザンオウ、㞷の異体字、コウ・キョウの異体字、𠈇シュク・スクセン𠩤ゲンチュウ・ジュウの異体字、𣓀シンの異体字、𥄕ベツ・メチ𥝩スイ・ズイスイ、ズイスイ、ズイの異体字、テイの旧字、𣬉ヒ・ビ、石田を一文字にした字テン𤝵キョウ・ゴウタン・ダン𦰚ヨク・オク𡍬ボク・モク、工×4な漢字テンセキの異体字、ショウの異体字、オウの異体字、シンショ・ソ𦖗ブン・モンゼン・ネンヘイ・バイ


実況「見事に読めない漢字ばっかり」


解説「もはやUnicodeもない字が多くて(■や□の異体字と表記してるやつ)、ほとんど表示できません。どんな字か知りたい方は、ぜひ漢字源五版と六版を買って突き合わせてみてください」


実況「誰もやらんて(笑)」


解説「とりあえず、漢字源第六版には見たことない漢字がいっぱいということが分かりました」


実況「お疲れさまでした(笑) じゃあ、漢字源は改訂とともに漢字がもりもりに増えて変化してきました、ということで終わりでいいですか?」


解説「ぜんっぜんよくないです」


実況「えー」


解説「もちろん! 改訂とともに変化したのは、親字数増加だけではありません」


実況「ちっ。では、なにが変わってるんでしょうか、解説のたかぱしさん。さくさくお願いします」


解説「はい、こちらのデータをご覧ください」


ページ数推移

初版 本文1450 付録182 索引136

三版 本文1773 付録78 索引203

五版 本文1879 付録98 索引197

六版 本文2206 付録75 索引271


実況「ええと。着実に増えてますね?」


解説「そうなんですけど、もっとよく見てください。初版から三版へ親字が2600字ほど増えたときは、本文ページも300ページほど増えています」


実況「まあ、漢字が増えているわけですし。順当ですよね」


解説「一方、4700字以上漢字が増えた三版から五版への改訂では、本文ページは106ページしか増えていません」


実況「むむ。これは、少ない」


解説「さらにさらに。100字ほどしか増えなかった五版から六版への改訂では、300ページ以上増えているわけです」


実況「これは、どういうことですか?」


解説「いくつかの要因が複雑に絡み合っているので、ちょっと順番に説明しましょう。まず、辞書のページが増える理由は大きく二つあります」


実況「二つですか。一つはすぐに分かりますよ。掲載する漢字が増えたことですよね」


解説「いえ、より正確に言えば、『解説を伴う漢字が増えたこと』です」


実況「どういうことですか、それ」


解説「漢和辞典で『親字』として数えられる漢字にはざっくり本字と異体字があります。漢字としての解説がついているのは本字のみ、です」


実況「異体字には解説はないんですか?」


解説「はい、異体字は「本字を見よ」と書いてあるだけで、これを“空見出し”といいます。これは解説がつかないため、たいへん省スペースです」


実況「なるほど。つまり、掲載漢字が増えたとしても、それが異体字の場合はページ数があまり増えない、と」


解説「はい。おそらく初版から三版への改訂(おそらく二版の時点)では本字が大量追加されたのに対し、三版から五版への改訂では異体字の追加が多かったのではないかと推測します」


実況「じゃあ、五版から六版への改訂でページ数が増えたのは、本字が増えたからなんですか?」


解説「いえ、違います。それは、ページが増えるもう一つの理由によるもの、つまり解説内容の増強です」


実況「解説自体がパワーアップしてページが増えている、と」


解説「はい。初版から三版への改訂でも解説内容は増えていますが、五版から六版も内容がパワーアップしています」


実況「へー。つまり大幅な改訂がされているわけですね」


解説「そうなんですよ。それに比べると、三版から五版の改訂は比較的小さなバージョンアップを重ねたものと言えるでしょう」


実況「掲載漢字が4700字も増えたのに小さなバージョンアップとか言われるのはかわいそうですね」


解説「ですね。さて、三版から五版へ4700字も増えたのにページが100ページしか増えていないのは、単に増えたのが異体字だったからだけではありません」


実況「お。他の要因があるんですか」


解説「はい。その理由とは、組版を変えて1ページあたりの文字数を増やしたり改ページを減らしたりしたからです」


実況「組版、つまりレイアウトの変更ですね」


解説「はい。例えば三版は1行24〜25文字が40行のレイアウトですが、五版は1行27〜28文字で41行です」


実況「おっと、思った以上に地味な変更」


解説「これが3段組みなので、単純計算で1ページあたり440文字ほど増えているわけです」


実況「原稿用紙1枚以上増えてますね」


解説「行間がほんのちょっと狭くなっていたり、字間がほぼゼロになったりしています。ぱっと見はあまり変わらないんですが、ずーっと読んでいるとやっぱり隙間のある三版のほうが読みやすいですね」


実況「ちなみに六版はどうなんですか? もっと狭くなってたり?」


解説「いえ、六版の組版は五版と同じです。おそらく、これ以上詰めると読めなくなる限界値なんでしょう」


実況「あきらめてページ数を増やして1キロ越えしたんですね、第六版」


解説「では次に、改訂で内容がどんなふうに変化したか見てみましょう」


実況「そろそろ5000文字超えちゃうので、サクサクお願いしますよ。みんな貴重なゴールデンウィークでこれを読んでくれてるんですからね」


解説「初版は、漢字の意味と解字、熟語という基本的かつシンプルな内容です。あとは珍しい項目として『単語家族』が載ってました」


実況「単語家族ってなんですか?」


解説「同じ系統の漢字の解説です。単語家族を知ることで、意味や成り立ちの理解をより深めてもらおうというものです」


実況「つまり、似たような意味の漢字でしょうか」


解説「意味というよりは漢字のコア・イメージが似ている漢字ですね。例えば『考(曲がりくねりつつ奥まで思い進む)』の単語家族には『朽(木が曲がる)』『究(曲がりつつ奥へ進む)』などと同系、と説明があります」


実況「なるほど、同義語とは違うんですね」


解説「漢字の成り立ち解説と一緒に読むと面白いですよ。さて、第三版になると、用例の追加や詳しい語法解説、難読語や名付け読みなどの情報、さらに補足的な参考情報の項目が追加がされます」


実況「もりだくさん。その参考情報って、たとえばどういう内容なんですか?」


解説「代わりに使える字が書いてあったり、注意事項が書いてあったり、似た漢字の使い分け方とか覚え方とかが書いてある字もあります。ほんといろいろです」


実況「意外と面白いことが書いてある(笑)」


解説「で、第三版から第五版は内容のパワーアップはほぼなしですね。問題は、第五版から第六版でのパワーアップです」


実況「なんせ300ページ以上増えてますもんね」


解説「まず情報の並べ方がガラッと変わっています」


実況「並べ方ですか」


解説「日本における意味や用法の項目を独立させて、日本語独自の情報を増やしています」


実況「わあ、赤色までつけて目立つようにしてますね」


解説「さらに解字の解説を大幅に追加。古音から漢字の成り立ちが説明されています。これは漢字源改訂第六版の大きな特徴なので、ぜひ実際にご覧になってみてください。情報もりもりです」


実況「六版の中身はすごいということですね」


解説「はい、いろんな意味ですごいです。すごいんですけど、もりもりの解字を読み解くのはなかなか大変です」


実況「ところで、使いやすさ……引きやすさというのはどうなんですか? 確か漢字源第六版ってたかぱしさんが引きづらい引きづらい言い続けてた辞書ですよね?」


解説「あー。引きやすさ。あー……」


実況「言いにくそう(笑)」


解説「そうですねえ。引きやすさを左右する欄外のガイドについて言えば、三版から六版まで大きな変更はないんですよ。多少、色とか背景色とか、マイナーチェンジはありますが。なので、正直三版から六版まで引きやすさにそれほど変化はないんではないかと思います」


実況「つまり、あんまり引きやすくない、と」


解説「まあ、ぶっちゃけ。微妙な違いについて言えば、個人的に三版がまだ引きやすいかなーと思います」


実況「なんともまあ」


解説「あと、ちょっと目が滑る感じの漢字源の赤色文字ですが、実は三版は明るい赤だったものが、五版では暗い赤になっています。色覚って人によりけりなのでなんとも言い切れませんが、この暗い赤がどうにも読みづらい気がして微妙です」


実況「うーん、暗い色の方が読みやすいイメージですが。読みづらいのかあ」


解説「第六版でちょっとだけ明るさが戻った赤色になっているので、暗い赤はやはり不人気だったんじゃないかと思います」


実況「そのちょっと明るくなった六版の赤も、たかぱしさんは読みづらい読みづらい言ってましたけどね」


解説「わちゃわちゃしてて引きづらい、読みづらい第六版より読みやすいかもと思って買った第五版ですが。結果的に第六版と引きづらさ読みづらさは大して変わらなかったです」


実況「おやまあ」


解説「そうなると、俄然気になる未入手の第四版」


実況「おい」


解説「あと初版と三版の間に新版(二版)もありますので。ここまできたら是非とも入手して、違いを比べたいところですね」


実況「漢字源が6キロ超えちゃう!」


解説「では、残りのゴールデンウィークは漢字源狩り週間といきましょう! ブックオフにレッツゴー」


実況「いかせるかっ!! それではみなさま、よいゴールデンウィークをお過ごしください」

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勝手に漢和辞典アワード2023+1 たかぱし かげる @takapashied

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