短編賞はコミカライズ原作コンテスト「ではない」

 昨日は休日のため、一日お休みをいただいていました。



 さて、今日の話題。

 タイトルで言い切ってしまった感がありますが、個人的体感として、短編賞はコミカライズ原作コンテスト「ではない」と感じています。

 選考基準として「コミカライズ映えするか」というポイントが存在するのは選評から確かのようですが、それ以上に短編としての完成度を基準に選ばれている感じがします。

 過去選評を確認するかぎりでも、選考ポイントとして挙がった点はだいたい同じような内容になっていて


 ・2018「最終的には、小説として完成していて、面白さに溢れていながら、コミカライズによって更に魅力を引き出せそうなポテンシャルも秘めた作品を受賞作に決定しました。」 https://kakuyomu.jp/contests/kakuyomu_web_short

 ・2019「今年も小説として完成していて、面白さに溢れていながら、コミカライズによって更に魅力を引き出せそうなポテンシャルも秘めた作品を受賞作に決定させていただきました。」 https://kakuyomu.jp/contests/kakuyomu_web_short_2019

 ・2020「小説としての完成度の高さと、コミカライズによって新たな魅力を引き出せそうなポテンシャルを兼ね備えた2作品を、短編賞に選出させていただきました。」 https://kakuyomu.jp/contests/kakuyomu_web_short_2020

 ・2021「短編賞を受賞した3作品はストーリー展開、キャラクター、文章力などが高いレベルでまとまり、小説として完成度が高く、なおかつコミカライズでさらに輝くポテンシャルを持っていました。」 https://kakuyomu.jp/contests/kakuyomu_web_short_2021


 コミカライズ映えするかどうか、よりも前に「小説として完成している」がきています。

 特に2021年の選評には、コミカライズ原作としては必ずしも必須要件ではないと思われる「文章力」が含まれているのが注目ポイントかと思います。

 2022年も、神崎あきら様「狸穴神社の縁切り地蔵 https://kakuyomu.jp/works/16817330650236400626 」への個別選評で「高い筆力を評価いたしました。」との文言が見え、近年の短編賞では、文章力が評価ポイントのひとつになっているのは確かなようです。

(選評: https://kakuyomu.jp/contests/kakuyomu_web_short_2022



 言い方を変えると、短編賞を本気で狙おうと思った場合、コミカライズ原作としての側面を過剰に意識する必要はないのではないかな……と、個人的には思っています。

 カクヨムコン9を前に色々な方々の記録エッセイを見て回ったりもしているのですが、中に「短編賞はコミカライズのコンテストだから容姿描写に力を入れる」のようなことを仰っている方を見かけたりもしまして。

 正直そこはあんまり関係ないんじゃないかな……と感じた次第です。



 ちなみに容姿描写、筆者の受賞作「笑顔のベリーソース https://kakuyomu.jp/works/16816927861260911907 」には、実はほぼ皆無です(笑)

 全編9999字中、登場人物の容姿が明確にわかるのは、1話の以下の部分だけです。


 ・白髪の客は、食後酒のグラスを置いて息を吐いた。

 ・客は白い髭を満足げに撫でた。瞼に埋もれそうなほど細めた目、緩んだ口元――見るからに満ち足りた顔だ。

 ・その時、客の隣に座っていた若い男が立ち上がった。深緑のベストをかっちり着込み、癖のない黒髪を肩のあたりで揃えた、いかにも固そうな手合いだ。


(一応この他にも、容姿と直接関係ない外見描写、例えば「手が白くて滑らか」とかはあるんですが)

 容姿描写これだけでも短編賞受賞できましたので、そこは短編賞の選考にはあんまり関係ないと思います。


 ただ、コミカライズの際の認識合わせで「なんか自分の脳内イメージと違った!?」となる可能性はありますが……

 そこは容姿描写をいくらがんばっても、別の方がイメージする以上ズレる可能性は必然的にあるので、受賞前から気にしてもしょうがないような気も、ちょっとしています。

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