失敗から学んで成長するととらえるか、それとも、失敗しないと学べないのか

面白い。

特に、シタ女の語りに注目したい。

人間と言うのは、本質的にはどこまでも自己中心的で、そうやって生きていって、失敗すると、いろいろと気付くことができる、というのが分かる。

浮気、という言葉にあるように、浮くような「軽い気持ち」で彼氏ではない男に処女を捧げて、優越感に浸って自己満足をした結果、シタ女は「本当の望み」だと考えていた彼氏との未来を完全に失う。

正直なところ、浮気する女の心理というのは、よく分からないのだが、このシタ女はきっちりとその心情を語ってくれている。

もっとも印象的なのは、高校時代の女友達との再会。
いろいろと気付いた今、改めてその女友達を見ると、友達とも呼べないような何かでしかなかった。
そんな女友達と群れて過ごした高校時代が、実は全てを狂わせていた。
流される人間であり、それを疑問に思わなかった高校時代に「失敗」したことで、サレタ男の彼氏がいなくなってしまった。
そうして気づいた、現実と真実。そして、自身の愚かさ。

リアリティに溢れている。

若さがいろいろなことに無敵感を与えているうちは、気づけないもの。

浮気セックスという優越感を得るための自己満足が、実は最大の「失敗」だったと気づいて、自分を見つめ直し、立て直していく姿と、その先にある、自身の最大の願いは叶わないという絶望。

後悔、という言葉がとても重い。


もちろん、サレタ男である彼氏の方も、面白い。
シタ女との恋人関係に学んで、大学でできた素敵な彼女との関係を、丁寧に、語り合って、深めていく。

コンドームを見つけてわたわたするシーンは必見。

そして、この新しい彼女が超かわいい……。


人は、成長していく。失敗しながら。そういうリアリティが、ここにはある。


魅力いっぱいのこの作品。
ぜひとも、読んでほしいです。

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