悪がなくても地獄は成り立つ。


 今まで打算込みで手を差し伸べてきた男。
 そんな心の内を読まれていたのか、自分が危機的状況になっても、その見返りがやってくることはありませんでした。

 窮地に立った彼の前に、本物の救いがやってきて……


 この物語には悪人はいませんでした。
 登場人物を悪とするなら、大体の人が悪に当てはまることになるでしょう。

 彼らは三者三様に自分の為すべきことをしていただけでした。

 運命のめぐりあわせ……というか、「悲劇」だなあと思わされました。