絵画好きな彼女と絵に『は』興味のない彼の日常【文披31題2023】

Extra Day（彼視点）

＊Day31「遠くまで」の後日談です　https://kakuyomu.jp/works/16817330659678655821/episodes/16817330661238556924

　展覧会のお土産にと彼女が友人にクッキー缶を渡している。

　俺のチケットがあったとはいえ、わざわざ県外まで行くほどだ。余程嬉しかったのだろう。未だにテンションが高い。

「二人で見に行ったのか。デートだな」

　対して受け取った友人の方は複雑な表情だ。

「え、デートじゃないよ。デートって恋人とするもんでしょ？」

　スパっと否定する彼女の声も聞こえてきて、予想通りとため息に留める。

　いつも二人で絵を見ているが、いつだってそれはデートではない。知ってるさ。

　隣で同期の奴が可哀想な目を向けてくるのも今は無視だ。

「あ、でも」

　彼女は今気づいたとばかりに目を瞬かせた。

「男子と二人で遠出したのは初めて、かな」

　つい顔が緩んだ。やばい。