2人の食事とその後2

「これまで長く・・・ゆうまを苦しめていてごめんなさい」


重い口を開いた、はるかからの一言だった。


「今日だけは昔のこともちゃんと話さないとって思っているから・・・」

「またゆうまを傷つけちゃうかもだけどちゃんと話しておきたくて。。」


「・・・」

「はるか、僕も今日ちゃんと話をしたいって思っているから」


「・・・うん、ありがとう」


事故からだいぶ経った。

でも、なかったことには2人ともできなかった。

そのままにしちゃダメって思っていた。

2人の気持ちは同じだった。


「あのね・・・けいすけさんのこともそう・・」

「それ以外も…ゆうまに甘えて全部相談してた」

「付き合い始めた時に、ゆうまがどんな些細なことでも相談していいからね!ってその一言でこれまで全部してきた」


「うん・・・」


「それはお仕事のことやお家のこともそうだけど」

「・・・これまでお友達とのやり取りとか、その返信内容とかそうゆうのも全部聞いてしまっていた」

「そのたびにゆうまはいつも、嫌な顔しないで真剣に私の話を聞いてくれてて、ちゃんとアドバイスとかくれてた」

「ゆうまに聞くとどんなこともスッてモヤモヤがなくなったりその後のことがスムーズにいっていたから」

「本当にごめんなさい・・・」

「うぐっ…ぐぅ、、」


我慢するように涙を流しながらこれまで僕が引っかかっていた部分を自分で話し始めているはるかを目の前にした。


「・・・はるか」



正直ビックリした。

あのはるかが自分からこんなことを言うなんて思いもしなかったから。

・・・いや、その決めつけがダメだったのかもとも思った。

僕がそんな決めつけをしていたから、話しても無駄ってみようとしなかったから・・・



「ゆうまが家を出て行ってから、年上のお友達に正直に話をして、初めて気がついたの・・・」

「これまでゆうまにしていたことがどれくらい異常だったかって。。。」

「彼氏にもパートナーにもしちゃいけない話を私はずっとしてた・・・」

「話すたびにゆうまを傷つけ、他人のようにしちゃっていたことを」


「・・・うん」


「いつも真剣に聞いてくれていたゆうまを・・・」

「隠さずに相談って全部見せていたことがゆうまを酷く傷つけていた・・・」

「・・・」

「こんな私に13年も側にいてくれて・・・」

「うぅ…うっ、、」

「あ”ぁ…………」


「はるか・・・」

「こんな、なんて言っちゃダメだよ」


「ううぅ、、、」


「はるか・・あのね」

「今回のこと、これまでのこと」

「はるかだけがイケナイなんて思ってないよ」


「。。。」


「僕も自分の気持ちをちゃんと伝えられていなかった」

「それに、もう話しても無駄って決めつけていたの」

「だから、どんな話でも聞けていたし、答えられていた」

「でも、それがダメだった」

「2人の生活なのに1人の生活にしてたのは僕だから・・・」


「うぅ、、ゆうまぁ、、、」


「だから、僕もごめんなさい」

「いつからかちゃんとはるかの事をみようとしていなかったと思うから」

「はるかをそうさせてしまったのは僕、、」

「だから、こんな私なんて言っちゃダメ」


「うぐっ…ぐぅ、、」


「ゆうまぁ、、ありがとうぉ・・・」

「・・・こんな私だけどゆうまがよかったらこれからも一緒に暮らしてほしいです。。」


「こ〜ら!こんななんて言わないの〜!」


「うぅ、、ごめんなさぁ〜い」



そうはるかに問いかけたら子供のように大泣きした。

お互いに色々あって距離を取った。

それもあってかどこか人事のような感じだったけど。

昔のように泣くはるかを感じて付き合って数年のあの頃を思い出した。


そういえばこんな感じで話し合いをしながら生活をしていたな。

あの頃は大変だったけど、楽しかったし、はるかのためにひたむきにやっていたな。

・・・だから、僕もちゃんと言わなきゃ・・・



「ううぅ、、、」


「はるか・・・あのね」


ビクっ


僕の切り返しにビックリしたはるか。

たぶん別れを切り出したあの時のようなものを感じたんだと思う。

だけど、話さないとダメだから・・・


「はるかも話してくれたから、僕もちゃんと言わないとだから」


「…うん」


「・・・実家に帰ってね、幼なじみだった年上のきょうかさんって人とたまたま再会したの」

「その人はね、、僕が小さな頃から面倒を見てくれたお姉さんなの」


「・・・うん」


「・・・でね」

「その人と、、、1泊のお出かけをしました」


「・・えっ」


「・・・いきなりごめん、、でもはるかには正直に話さないとって思ってる」

「はるかが聞きたくないならもう話は、、やめるよ」


「・・・」



想像していた話とは違う話しにビックリしたのと、その内容にも驚き時が止まったのを見た。でも。


スゥーっ


少し深呼吸をしたはるか。


「ううん、ゆうまの話聞くから言っていいよ」



このはるかもこれまでに見た事がなかったからはるかの変化を感じた。


だから僕もちゃんとしなきゃって。



「うん、、ありがとう」

「・・・きょうかさんはずっと実家に引きこもっている僕を連れ出してくれて」

「それに甘えてしまった」


「…うん」


「一緒に出かけて旅館でご飯食べたり、温泉に入ったりした」


1部屋で泊まったことなどは言わなかった。

言わなくても男女の大人が2人で出かけるってどんなことかわかるだろうし、どんな理由があれ出かけた事実がある以上、変な言い訳はしたくなかったから。


「そんな時間を過ごして頭の整理がようやく出来るようになったんだ」

「あれからずっと1人で考えていたから・・・」


「・・・」

はるかは黙って話を聞いている。


「そしたらね、これまでのことから、はるかから向き合わずに逃げていた僕がいたことに気がついたん」

「はるかに別れたいって言った時、家を出てはるかから距離をとったことでスッキリしたはずだったのに・・・冷静になってちゃんと考えてみて、自分の気持ちに問いかけてみて」

「はるかがいない部屋で、はるかのことを考えている自分がいることに気がついたの」


「・・・うん」


「はるかにちゃんと自分のことを、気持ちを話して、それではるかとまた一緒に歩みたいって」


「うん、、」


それを聞いてまだ話しているゆうまを遮らないように泣き出しそうな口元に手をやるはるか。


「これまで色々あった」

「それでも10年もやってきたのははるかが好きだし家族だからやってきたって強く思うの」

「・・・でも、そんな存在なのに自分のことを偽り隠してきてしまったから、こんな大きなことになってしまったって」

「だから・・・僕こそごめんなさい」


両目に滲んだ涙を親指で拭いながら気持ちを伝えた。


「うん、、、うん。。。」


両手で口を押さえ強く頷いているはるか。


「ぐすん、、ずず」

それを見てさらに流れてくる涙と鼻水を拭って続けた。


「僕ははるかのこと・・・好きだよ」

「こうゆう気持ちもちゃんと伝えてこなくてごめんね」

「そして、お泊まりに行ってしまってごめんね」


「うん…うん…うん。。。」


「でもね、きょうかさんとそうゆうことは・・・」


スッ

ギュ・・・


言いかけた言葉を遮るように、ソファーの隣で座っているはるかが僕の手を握った。


「・・・もう、いいよゆうま」


「で、でも・・」


ギュ・・・ギュ

さらに強く握ってきた。


「私、、ずっとこうゆう話をゆうまにしてきちゃってたんだね。。。」

「それで、、、それで、、やり取りとか返信とか相談していたんだって・・」

「ゆうまぁ、、本当にごめんなさいぃ・・・」


「はるか・・・」


「いいの・・・ゆうまが正直に話してくれたことが、気持ちを言ってくれたことだけでいいの」

「どんなことがあっても私の中のゆうまはゆうまだから・・・」


「・・・うぐっ」



涙が止まらなかった。

ちゃんと自分の気持ちとかを打ち明けてこなかったこれまでを。

はるかのことを決めつけてそのままにしてしまっていたことを。

ちゃんと向き合っていればって・・・後悔が強い。



「なんでゆうまも泣くのぉ〜。。。」


「男が泣くなんてあかんよね。。。」


「そうだょ〜、、私が悪かったんだからぁ。。。」


「いや、僕がだよ・・・」



いい大人が2人して昔の関係値だった時のように話し泣いている。

そして。

ゆうまも、はるかも感じでそれぞれ思いふけ、少し落ち着いてきた。



「・・・うふふ(笑)」


「あはは(笑)」


そんなカオスな状況に2人して笑ってしまった。



「はるか、あのね」

「こんな僕だけど・・・これからもよろしくお願いできないかな?」


口火を切ったのはゆうま。

それに続くようにはるかも。


「こんななんて言わないの〜!」

「でも、私こそ・・・こんな私だけどこれからもよろしくお願いします」


「あっまた言った〜!(笑)」


「えへへ(笑)これで最後だよ〜!」


「うんうん!」


「・・・うん!」



「はるか!」


「んっ?」



首を傾げて答えるはるかを優しくハグした。


ぎゅー


もう恥ずかしくなるくらい久しぶりのハグに照れながらもハグを返すはるか。


ぎゅ!


そう、これは昔のした2人の約束事。

ケンカをした後は仲直りとしてどんなことがあってもハグをして許すって。


「えへへ(///)ゆうまの匂いだぁ〜」


「えっ!(笑)く臭い?」


「もーそうじゃないよ(笑)」

「ゆうまの匂いって安心して眠くなるの〜」


「あはは(笑)子供やん」


「子供じゃないです〜(笑)」


「今日はこれまでみたく寝る時にまた出来るから!」


「えへへ(///)うん!」


「ほら食後のデザート買いに行こう!」


「あっ行く〜〜!」


バッ


ソファーから1人立ち、見上げるはるかの手を取った。


「よし!行こ!」


「うん!」


手を繋ぎながら玄関に向かう。


スタスタスタ


「何食べたい〜?」


「私はいつもの〜!」


「おっいいね〜!」

「僕はね〜・・・・」


バタンっ


------

未婚で同棲13年。

色々あった。

たぶん僕らは他の人とは少し違う歩みをしてきたと思う。

でも、確かに2人で歩んできた。

それは、2人にしかわからないこと。

だけど、13年という時間は確かにあった。


キッカケは知らない電話。

でも、小さな積み重ねがそれぞれにあって結果大きなことになってしまった。

それは、僕ら2人のような関係値でなくても起こる可能性はあると思う。


だからこそ。

話をして、言い合いもしながら歩むことが必要なんだと改めて思った。

同じことを繰り返さないように。



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エピローグまでお読みくださいましてありがとうございました!

読者さんはもちろん、私も気になっていた2人のその後のお話。

これは書きたいと思っていましたが、私の体調不良などによりお時間がかかってしまいましたがようやく形にできました。


ゆうまとはるかはこんな形で次の生活をしていきましたが、いかがでしたでしょうか!?

楽しんでいただけてもらえたら嬉しいです!


ここまでお読みくださいまして、本当にありがとうございました!!


引き続き、"初めての書き出し小説風"を

どうぞよろしくお願いいたします。

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ずっとあのままでいられたら 初めての書き出し小説風 @mako1990_02

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