第6話 ~仲間~
決闘に勝った。
「おにいぢゃん……。あ゛あ゛。う゛あ゛あ゛!!!1」
俺が殺したチンピラの妹だろうか。泣いている。
「なんで。なんで殺したの゛ぉ゛……。」
なんだろう。悪いことをした気がしてきた。
「お前。殺す。」
次の瞬間、その娘はナイフ片手に突っ込んできた。魔法を使っているのだろうか。動きがすごく俊敏だ。俺はGlockを取り出し狙いを定める。トリガーに指をかけて撃とうとした瞬間、
シュッ……ポタ……
彼女のナイフが俺の腹部に刺さった。
タタタ!タタタタタタタタ!
俺もGlockを撃つ。彼女が倒れた。
「人を殺すのって、良い気がしねぇな……。」
切り替えていこう。無事に勝てた。
「勝てましたねぇ……。」
ユラさんが言う。
「そうですね……。勝っちゃいましたね。」
なんだろう。すごく気まずい。話が続かない。
「ユラさん。あの時一人でいましたけど、なんで捨てられたんですか?」
思い切って聞いてみた。会話を続けよう。
「私のスキルって
「あまり聞いたことがないスキルですね...」
「このスキルって、魔法は使えない大量の人形を出せるんですよ。」
「じゃあ、おとりに出したりするんですか?」
「そうですねぇー。おとりだけじゃなく、訓練の相手にしたりもしますよ。動きを見せれば真似してくれるので。」
「便利そうですね。」
「うーん。でも、やっぱり魔法が使えないので直接の戦闘に入れないです。うーん。悲しいですけど、不遇職ですよ。だから最初に切り捨てられたのだと思います。」
あれ、魔法が使えない?魔法は使えないけど、大量の動く人形を出せる?
たくさんの人、たくさんの銃……。
「ユラさん。パーティー組みませんか?」
「いいですけど、私、本当に弱いですよ。本当に。やめたほうが……。」
「全然大丈夫です。それより、人形出してください。4人ぐらい。」
「わかりました!」
本当に人形が出てきた。
「でも、魔法が使えないんですよ。この人形たち。どうするんですか?」
「これを持たせます。」
俺はAKMを4挺召喚した。AKMは、AK-47という銃の改良版。ちなみに、RPKという銃はAKMを元に作られている。あと、これらの銃のマガジンには互換性がある。
「これは何ですか?」
ユラさんが聞いてきた。
「魔法を使わないで魔物を倒せる弓です。」
と分かりやすく説明した。
とりあえず、人形に1挺ずつAKMを持たせた。銃を一から教えるのは楽しい。戦うときしかトリガーに指をかけないことや、セレクターの操作、テイクダウン、一からすべてを教え込んだ。明日は依頼を受けよう。
「帰ったぞ。」
「おぉ~冒険者の兄者ぁ!!!」
アルは、謎のハイテンションで迎えてきた。
「どうした?」
「兄者すごいじゃん!ギルドにテーブル売りに行ったら、めちゃめちゃ声かけられたよ!」
自慢げに話しかけてくる。まぁ、悪い気はしない。
我々が住んでいるこの国は、カルデリアというらしい。そして、困ったことにカルデリアの国軍が俺の召喚したオスプレイを調査している。自分はマスターを信用しているし、マスターが余計なことを言うことはないと思うが、厄介なことになりそうだ。
それにしても、カルデリア軍は異世界の騎士と魔法使いといった見た目だ。
ま、こんな兵士、俺の銃を使えば一発で殺せるわけだが。
これはアルに聞いた話だが、カルデリア軍はこの世界においてはかなり強力な軍隊らしい。カルデリア軍は、多数のドラゴンを持っており、保有するドラゴンの数で他国を圧倒しているとのことなのだ。
ドラゴンがいるのなら、やはり航空機も召喚したい。というか、自分で国を作ってもいいかもしれない。
まぁ、この世界に銃や大砲が存在していないようだから、戦闘艦も存在しないのだろう。海を除く全域を支配する世界最強の国。それがカルデリアなのだ。
「すいませ~ん。コレって、どうする予定なんですか?」
念のため、カルデリア軍の騎士にオスプレイをどうするのか聞いてみた。
「コレは、現在調査中だ。それ以上は言及しない。」
怪しまれているようで、教えてもらえなかった。
とりあえずオスプレイのことは忘れて、依頼を受けることにした。前のような、ゴブリン討伐依頼とかがあればいいのだが……あった。オルザスゴブリン討伐依頼。オルザスゴブリンってなんだ?
「すいません。オルザスゴブリンって何ですか?」受付嬢に聞く。
「オルザスゴブリンは、通常ゴブリンよりも炎魔法の扱いに長けているものです。ですが、炎魔法以外の魔法が使えないので、水魔法で攻撃すれば一瞬ですよ。」
「ありがとうございます。」
とりあえず、充分訓練相手になりそうな雑魚敵のようだ。
「じゃあ、行くぞ!」
「お……おー!」
ユラさんも乗り気だ。
町から歩いて30分ほど、いつもの鬱蒼と茂る森。何か動くものがある。人形たちに斥候と、魔物であれば攻撃するように命令した。
タタタタタタタ
タタタ
タタタタタ
タタタタタタタタタタタタ
複数の射撃音が森に響いた。確認に行くと、通常のゴブリンが6匹倒されていた。
「おぉ。よくやった!」
「すごい...ですね...」
だが、私たちが求めているのオルザスゴブリンだ。通常ゴブリンはお目当てじゃない。また森を20分ほど歩いていると、突然人形たちが銃を撃ち始めた。
タタタタタタタタ
タタタタタタタタタタタ
タタタタタ
タタタタタタ
ゴブリンたちが撃った先をみると、オルザスゴブリンが3匹倒れていた。
「いやー倒せて良かったー。」
「そうっすねー。」
「うーん。っていうか、ルイドの野郎がつけてる耳当てめっちゃ欲しいんですけど~。」
「わかる~。」
一斉に人形たちが話し始めた。
「あなたたち喋れるの!?」
ユラが驚く。どうやら、ユラも自分の人形が喋るのを見るのは初めてのようだ。
人形たちは頼もしい味方になりそう!
銃があります!~魔法なんてなくても!~ ミリオタ陰キャ @rali_A
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