第5話 ~対人戦~

 CV-22オスプレイ。MV-22というタイプのオスプレイに、地形追随機能や電子妨害機能を搭載したもの。まぁ、特殊部隊向けの垂直離着陸機ということだ。

「マスター!こちらまで彼女を運んでください!」

「あぁ。わかった。」

 マスターは、この物体を凝視しつつも、負傷した女性を森から出た平野に運んできた。


 バラララララララ


 プロペラの風を切る音が腹を震わせる。騒音と言われれば騒音。だが、それがいい。某シミュレーションゲームで操縦していてよかった。戦闘機とかもほしいな……。

「君……。これは?」

「空中を高速で移動できる馬車です。」

 全力の例えである。

「そうか……。君はすごいなぁ。あぁ。すごいよ。」

 オスプレイは500km/h近いスピードで森をかけていく。10分もせずに町へ着いた。


 ブロロロロロロロ... ギシィィー...


 町の外れに着陸した。下手な着陸だ。だが、楽しい……。いや、まずは彼女を運ばなければ。

「マスター!彼女を運んでもらってもいいですか?」

「わかった。ギルドに行く!」

 負傷者の引き継ぎは終わった。だが……。

 人だかりができ始めた。破壊するしかない。C-4を召喚した。

 C-4を1kg、オスプレイの下部へ。両翼の上に2kgずつ、コックピットには5kg、計10kgのC-4を設置し、それぞれを銅線でつなぐ。

 タイマー式の起爆装置に銅線をつないだ。残り1分で起爆。


とにかく走る。


巻き込まれないために!


 ドゴォォォォンンンン!


「起爆した!!!」

 大きな爆発が起き、破片が飛び散ってきた。だが、オスプレイの原形がとどまってしまっている。

「(逃げるしかない)」

 俺は思った。大急ぎで走り出す。王国軍だろうか。この国の軍隊と思われる人たちが走っている。おそらく、オスプレイを確認しに行っているのだろう。逃げて正解だった。計器類を破壊しているから、飛行はできないだろう。エンジンもローターの基部も破壊できているし……。

 さて、おそらくマスターは冒険者ギルドにいる、行くか。



 ギルドは2階建てになっており、2階の、この前も一度来た豪華な部屋に行くと彼女がいた。

「ひぃ……あっ!」

 彼女がこちらに気づいた。

「こんにちは。」

 しっかりと挨拶をする。

「あ!ユラって言います。一応エルフと人間のハーフです。あの、ありがとうございました。」

 かわいい。うん。顔はいい。耳が嫌だな。

「ルイドです。」

 しっかりと自己紹介。

「んじゃ、まぁ下に行こうか。ここは執務室だからね。」


 1階へ移動した。すると、

「おい。お前さぁ……。俺のメンバーにケガさせたらしいじゃん?払うもの払ってもらわなきゃ困るなぁ...???」

 知らないやつが話しかけてきた。面倒なことになりそうだ。

「お前さぁ……。何してくれてんの?」

 どうやら、彼女のパーティーのメンバーのようだ。彼はユラのパーティーメンバーで、俺が事故ではあったが彼女を負傷させてしまったことを怒り、俺に慰謝料を要求しているようだ。

 だが、あの時彼女は一人だった。

「なぁ、あの人だれ?」

 俺はユラに聞いた。

「パーティーメンバーの人。でも、見捨てられた。」

 彼女は顔を曇らせた。

「いくら払えばいいんだ?」

「1000金貨だ。今すぐに払え。」

 まぁまぁな大金。傲慢な奴のようだ。

「無理だ。それに、君たちのパーティーは彼女を見捨てたようじゃないか?」

 俺は堂々と言った。周りが見る中で、大声で言ってやった。

「だまれ!このガキ!あぁ。わかったよ。お前はそうやって嘘をついて逃げる気だな?よし。いいだろう。決闘だ。俺は訓練場にいるから、今すぐ決闘しろ!」

 勝手に訓練場に行ってしまった。

「マスター……。これって、やらなきゃいけない感じですよね。」

「うむ……。やらなきゃダメだろうな。」

 マスターも言う。すごく。ものすごーく面倒なことになった。



 この前の訓練場。的が新しくなっている。

「おう。お前か。ちびって逃げたのかと思ったよ。」

 俺は、とりあえずGlock18を取り出した。相手は、重たそうな剣を持っている。

「マスター。これって、相手を殺してもいいんですよね?」

 マスターの方を向いて聞く。

「もちろん。これは決闘だからな。」

「じゃあ、相手殺しちゃいますね。」

 セレクターをフルオートにし、Glockを握りしめる。

「おぉ。お前、ひょろい体のわりに自信満々だな。」

「お前こそ、下半身だけで生きてきたようなハーレムパーティー野郎だ。高が知れてる。」

「おぉおぉおぉ。言うねぇ~」

「では、始めさせていただきます。」

 受付嬢が話し始めた。

「ルールは、魔法の使用が禁止の一本勝負。また、相手を殺害した場合罪には問われない。それでは、お二方は条件を出してください。」

「俺は、1000金貨を要求する。」

 相手が堂々と言った。

「ん……。じゃあ俺はこいつの死で。」

「おぉ。怖いねぇ。」

 相手は笑いながら言った。

「それでは、お二方の条件と要求が出されましたので始めます。」

 受付嬢が言う。

「構えぇー!」

 相手は剣を持つ。俺は銃口を相手に向け、トリガーに指をかける。

「始め!」


 タタタタ タタタタ タタタタ


 始めの合図と同時に銃を撃つ。相手は腹部から胸部にかけて穴だらけだ。だが、慈悲はない。

 

 タン!タン!


 確実に死なせるため、2発を相手の頭部に打ち込む。


 ターン!


 相手の胸部にも、心臓のあたりを狙ってもう一発。確実に死んだだろう。俺に慈悲はない。勝つためなら何でもする。

「勝者!ルイド!」

 受付嬢が叫んだ。

「やったー!」

 だが、人撃つのはいい気がしない。

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