第2話
真っ白。
思考能力を取り戻して真っ先の感想。
数瞬を経て、先程(?)の出来事が濁流のように流れてきた。
それとほぼ同時に
『起きたか』
と初老の、とても厳格そうな男性の声が頭に直接叩き込まれる。
『我はこの世界を統べる神なり。汝は何を望む?』
そう問われた。
俺が答えに詰まっている、というか状況がよく読み込めてない所を読み取られたのか、
ふぅと一息つくと
『はぁぁぁぁあ…儂のこのキャラ毎回毎回話がすぐに進まんし疲れるからそろそろ辞めようかのう……』
先程の声とは考えられないほど抜けた声が頭に響く。
さらに混乱していると急に目の前が明るくなり、その光がおさまったところから中世ヨーロッパ期に書かれてそうないかにも神様〜って感じの人が胡座をかきながら、耳をほじくっているではありませんか。
『まぁ座れ』
そう促され、とりあえず正座することにした。
『はーい。じゃあチャチャッと済ませちゃいまーす。』
なんか書類みたいなのが数枚手元に現れる。
『うーんと? おお、久しぶりに見たのう、不幸レベル99。』
なんか説明とか一切無しに何かが始まりそうなので、手元の書類に目を通すことにした。
『で?えーっと…。ふむふむ?あぁー?』
流石に全く状況が読み込めていないのでおずおずと
「あ、あの〜…」
『……なんじゃ?』
「い、いや、ちょっと状況が読み込めないので軽くご説明いただきたいのですが……」
『書類読みながらでおk?』
「あ、はい…」
一応説明してくれるそうだ。
『とりあえずお前は死んだ。そしてここは俗に言う黄泉の国みたいなとこじゃ。』
想像通りと言えば想像通りだが俺は死んだようだ。
というかそんな軽く死んだって言うか?
そういうノリなん?
『で、今お前を今後どういう風な待遇にしようか選別しているとこよ。この書類は自動生成される人生の履歴書みたいに思っておけば良い。』
確かに書かれている内容は俺の人生での主な体験等が時間系列順に並べられている。
『しっかし、これはひどいのぉ。』
「そ、そんな、ですか?」
『おお、もはや100年に一度の逸材じゃよ』
逸材という言葉は使い用によっては悪口ともなるようだ。
『説明を続けると、待遇は主に3つあって地獄、天国、そして転生じゃ。』
転生。そう聞いた瞬間、態度には出さないものの俺は浮き足立った。
俺もれっきとした中高生。
転生して自由気まま過ごすことに憧れを抱かないわけが無い。
『天国と地獄は………まぁ言葉の通りじゃな。悪いことしたやつが地獄、いいことしたやつが天国じゃ。で、転生じゃが…』
突然ぴこんとスマホの通知音のような音とともに
『貴方!!!!最高神なのに使徒にやらせるような雑務してサボってるんじゃないわよ!!!!』
と女性の怒鳴り声が響いた。
『チッ、気づかれおったか。…まぁよい。丁度診断結果も出たしのう。』
そういった矢先に先程までなかった文字が追加されていた。
『おお、中高生に大人気な転生じゃぞい。』
そう言われた瞬間、俺の心は歓喜に打ち震えた。
『じゃあ儀式するんで、心の準備でもしておけ。』
瞬間、先程神様が現れた時と同じような光に体が包まれる。
俺は何もかも恵まれていなかった。
よく己の不幸を嘆いたし泣きもした。
だがこれで虐められたりすることは全くなくなり、新たな人生を始めるんだ。
そして光が指数関数的に強くなり、ついには目を開けることすら困難になった頃。
『そうじゃ、言い忘れとったけど、転生後は___』
神様が何か言おうとしていたらしいが言い終わる前にトラックに轢かれた時と同じような
感覚に陥り2度目の思考停止を迎えた。
守れなかった美少女と共に異世界無双を始めます 夜星 @yahoshi
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