あの子の耳にどうか届くように

恋する距離のためにイヤホンを使うのは、ベタだけどいい。

「その人の好きな音楽を知ることは、その人の心のなかに流れている音楽を知ること」という考えがある。

恋をしている怜は、ラブソングというジャンルをひたすら聞いているはず。
ワイヤレスにするつもりはないのか聞く美紀。
まだそのつもりはないと答える彼に否定するでもなく、受け入れている。

彼女もまた、この関係を良しとしているのだ。

イヤホンを変えても二人の距離が変わらなくなる日が来ますように。