TRACK2 どさんこ娘と水族館デート
「お兄さん、待った~?」//駆け寄ってくる
「や~、北海道にも海はあるけどさ、水族館は何度来てもいいもんだよね」
「今日おしゃれしてきたんだ~。どう? 似合ってる?」//その場でくるっと一回転するような感じ
「だって、今日はお兄さんとデートでしょ? これでも楽しみにしてたんだよ~」
「ふふ、そんなに顔真っ赤にしてめんこいね……」//囁くように
「な~んちゃって。じゃ、見て回ろっか」
「へぇ~、やっぱり水槽がドーンとでっかいと綺麗だねぇ。見て見て、クラゲとか光ってる! これはブラックライトかな? そのへんの女子なら『映え~』とか言って撮りそう~」
「私? や~、映えとかあんま興味ないしねぇ。間違えてフラッシュたいてお魚さんをびっくりさせるのも嫌だから、写真は撮らずに頭の中に思い出として刻んでおこうかなって思って」
「……え~、優しいって? 私が? 単に責任問題を起こしたくないだけだよ~。買いかぶり過ぎじゃない?」
「えへへ、そんなに褒められたらなんかこっぱづかしいなぁ。それより、もっと奥まで見に行こうよ」
「あ、アレ見て! クリオネ! 流氷の天使ってやつだよ」
「説明書きもある。北海道だとオホーツク海とかにいるんだって」
「ここで北海道トリビア。クリオネはエサを食べるとき、頭のように見える部分がガパッと開いて、食事をするんだよ。見た目がけっこうえげつないけどね。あと共食いをする。こんなに可愛いのにね~」
「さて、次の水槽は……おっ。ちょうどダイバーさんが潜って、魚にエサをやってるね」
「ふふ……ちょっとこれ見てよ。『ダイバー』って名前で魚と一緒に紹介されてるパネルがある」
「この水族館はユーモアがあるねぇ。うちの牧場でも真似できないかな。お父さんのパネルとか作ってさ」
「うん。うちの牧場、牛を育ててミルクを絞るだけじゃなくて、その牛乳で作ったソフトクリームとか売ってるんだよ。乳搾り体験とかもできるし。こういう見たり聞いたりしたものが、何かの参考になればいいよね」
「あっ、そろそろイルカのショーが始まるんじゃない? いい席取るために早く行くべさ!」
「ふぅ、ふぅ……最前列の席が取れてよかったね。ほら、お兄さんは私の隣におっちゃんこして」
「わ~! イルカのルカちゃん、めんけぇなぁ~!」
「え、ちょっと待って、今ルカちゃんがジャンプしたら……」
//SE:バシャッと水がかかる
「うわぁ! しゃっこい!」
「あはは……最前列だったから、もろに水かぶっちゃったね……」
「あ、タオル? ありがとう、準備がいいね。とりあえず水気だけ拭き取って、あとは自然に乾くのを待つしかないか」
「ねえねえ、お土産屋さん見に行こうよ! ルカちゃんのストラップがあるんだって!」
「わぁ……ガラス細工のイルカだ……キレイだなあ」
「ん? どうしたの、お兄さん? ぬいぐるみは好きかって? うーん、家にはあまり置いてないかも……」
「えーっ!? このでっかいイルカのぬいぐるみ買ってくれるの!? そんな、悪いよ。こんな大きなぬいぐるみ、高いでしょ?」
「そりゃ、お兄さんは社会人だから、買えないことはないだろうけど……」
「え、今日のお礼……? うーん、どうしても受け取ってほしいと言われると断りづらいな……」
「わがったよ。それじゃ、喜んで受け取らせてもらうね。ありがとう、お兄さん」
「えへへ……。今夜はこの子を抱きまくらにして寝ようっと」//ぬいぐるみをギュッと抱きしめる
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