TRACK4 どさんこ娘と朝のゴミ出し

//SE:鳥のさえずり、朝の風景、ゴミ袋がカサカサなる音


「あ、おはようございまーす。……って、なんだ、お兄さんじゃん」


「お兄さんもゴミ出しに来たの? お互い、ひとり暮らしだと、ゴミ出しも忘れがちになるよねぇ」


「え、私の持ってるゴミ、多すぎないかって? にゃはは……いつの間にか溜まってたんだよねぇ。不思議」


「そういうお兄さんも、めちゃくちゃ大きいゴミ袋がいくつもあるじゃん。やっぱ小説家やってると昼夜逆転しがちだったりする?」


「北海道みたいに、ゴミステーションがあればもうちょいラクにゴミ出しできるんだけどね」


「あれ、ゴミステーション知らない? そっかぁ……アレめっちゃ便利なのに、どうして内地で流行らないんだろう?」


「ああ、内地って本州のことね。北海道から東京に来てみて、文化の違いに戸惑うばかりですよ私は」


「まずおうちを借りたらさ、窓もドアも二重になってないのに驚いたね。そりゃ冬が寒いのは当たり前っていうか」


「え? 二重だと関係あるのかって? めっちゃあるよ。二重になってる分、外の寒い空気が入りにくくなるでしょ? 北海道の家はそれに加えて家の中の空気を温めやすく、逃がしにくい構造になってるんだ」


「……っていうのは牧場を修理しによく来てくれる大工のおっちゃんの受け売りなんだけどね。私もそこまで詳しいわけじゃないよ」


「でも、東京って意外と冬寒いんだね~。からっ風っていうのかな? ビル風とかも多いから、むしろ北海道より凍えちゃうかも」


「私なんか、北海道ではストーブをガンガンに焚いて、半袖半ズボンでアイス食べたりしてたよ、冬。道民の贅沢だよね~。うん、ストーブがあるから、北海道ではこたつ使ってる家庭は少ないかも」


「冬といえばさ、東京が雪降っただけで交通機関が麻痺しちゃうのには参ったね。アレで大学何度か休みになったから家でオンラインゲームしてたけど」


「え〜? 単位大丈夫かって? お兄さん、私の勉強の心配までしてくれるの? サービス手厚いね〜」


「あはは、冗談冗談。立ち話もなんだし、パパッとゴミ投げちゃわないとね」


//SE:ゴミを出す音


「このあと? 大学〜。レポートだる〜い。あはは」


「お兄さんも小説書くの頑張ってね〜。したらね〜。今日も張り切っていきまっしょい」

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