鉛空の環
@Pz5
入梅も未だ雨来ず時流れ
鉛空ぐるりぐるりと燕舞う
羽虫捕える
軒下と雨樋の陣土砦
城壁の扉開かれ土櫓
我ぞここにと鳴く雛三羽
愛を受け嘴開く大宴
随喜の杯にぞ
飛び続け代わる代わるに親の馳走
鳴き喰い飲み鳴き鳴き喰い鳴く
給す
無間に続くは刹那の喜び
鉛空ばさりばさりと鴉舞う
餌に遊びに漁るゴミ置き
眼の先に軒下雨樋土塊と
あまた楽しみ糧の予感
奮ひ駆せしむは彼が宿業
嘴が扉開きて土櫓
興味の杯にぞ
的を得て開く嘴大遊び
鳴き荒れ鳴き鳴き咥え攫い
瓦解城壁混乱玩具捕捉鴉飛翔
我爪の間鳴く雛一羽
日暮雨ぐるりぐるりと燕舞う
羽虫捕えて我が雛目指し
軒下と雨樋の陣空砦
城壁の扉開きし泥櫓
我ぞここにと鳴く声皆無
馳走逃げ愛の宴も虚無に消え
交わす杯虚空を切りぬ
足着きて代わるべくなし親の番
鳴き鳴き鳴き鳴きなく宛てなし
跡ばかり土塊もなし城跡地
鉛空梅雨前線燕舞う
羽虫喰みて宛て無く舞うのみ
鉛空の環 @Pz5
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