きららかに沈む

清涼な水に、心身を浸した心地がした。
余人には見えない魚。それを見る和真の世界は、スイミーの絵本の優しい水彩画を彷彿とさせる。
派手さはないものの、丁寧に綴られる文章。言葉の一つ一つに、作者の心が籠っているような温もりを感じて安堵する。
ひりひりと痛むことのない傷薬。
この作品は動か静かと言えば静であり、ゆえにこその柔軟がある。受け止めてくれる気がする。
一方で、痛いものは痛く、美味しいものは美味しく、嬉しいものは嬉しく、きちんとした描写に抜かりがない。没頭できる。
この世界の創造主である作者と、作品に、両手いっぱいの花束を贈る。未来に幸あれ。
あなたも、この作品を読めば、きっときららかに沈む。

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