5年ごと

姫路 りしゅう

5年ごと

やみのなか でもあたたかい やみのなか そとがさむくて おもわずないた


あれはなに しらないことは 多いけど ぬくもりだけは ちゃんとしってる


初恋と 呼ばぬなにかが 燻って ノートの隅に 名前書いてる


うるさいな 親も教師も 友だちも ちょっと黙って おれを見てろよ


酒の味 煙草の味に キスの味 甘さに交じる 虚しさの味




結婚を 迫られ夜に 自問する まだ大人には なりたくなくて


久々に 会って昔の 話だけ またお前とさ 馬鹿がしたいよ


もうきっと 若くはないと 飲み込んで 今日も無理やり 大人のフリで


あの頃の 親の気持ちが よくわかる 不安な気持ち 隠し通して


大丈夫 ずっとお前を 見てるから ちょっと口出す それは許して




折り返し そう呼ばれるには 少しだけ 行き過ぎた気が 生き過ぎた気が


格好いい 大人になれたか 心配で 次は目指そう かっけぇジジイ


還暦で ようやく干支が 一周か ステ引き継ぎで 2周目行くか


孫の言う 好きなヒーロー ちょっと待て カラフルすぎる うちの代より


最近は 忘れることも 増えたけど ぬくもりだけは 覚えてるから




親友が 死んでもきっと 消えはしない 僕たちずっと 親友だった


繰り返し 映画を観ては 焼き付ける あの世はきっと 暇だろうから


思い出の 僕らはいつも 笑ってて きっと僕らは 幸せだった


大往生 きっとみんなが 言うだろう だから生きるさ もう少しだけ


ありがとう 僕と出会った 人たちへ 少し眠るよ おやすみなさい

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