⤴あげぽよ⤴ FATE BOOST 恋愛運を上げちゃうよぉ⤴
渾身の六十分コース版ハンドマッサージの破壊力が凄すぎて、一体全体なんのお店に来たのか意識が飛ぶほど、前後不覚にされてしまったぞ?
アゴをにフック喰らって脳みそ揺らされたみたいになってんぞ?
占いのお姉さん……なんて、恐ろしい子ッ!!
***
お姉さんは、背後にあるタオル蒸し器を開け、お手拭きタオルを取り出した。
//SE バタンと、蒸し器の扉の開閉音。
//SE タオルをパタパタと熱を逃がす音。
お客さんの手を拭いていく。
//SE タオルで手を拭く音。
「うんしょっと。にゅるにゅる気になるところある?」
「ん。大丈夫そう? なら良かった!」
「さてとー、占いしよっかー」//ニコニコした感じで
「今日は何占う? え? 別に決めてきてない? おまかせ?」
「占いで、おまかせなんて聞いたことないよぉ~。マジウケる」//笑いながら
「寿司屋かッ! なんてなー」//笑いながら
お姉さんは、タロットカードをテーブルの上で、かき混ぜている。
//SE タロットカードがかき混ぜられて、擦れる音。
「んー、そうだなぁ。占いといえば、やっぱ恋愛運かなぁ。みんな、だいたい、その相談だし。女の子とかは特にねぇ」
「しばらく、恋人いないの? じゃあ、恋愛の運勢にしようっか?」//少し驚きつつ
「そっか。そっか。ずっと、お仕事忙しくて、それどころじゃなかったんだもんね」//同情しつつ慰める感じで
(ここまで、タロットカードのシャッフル音は続ける)
お姉さんは、カードシャッフルの手を止めて、向かいのお客に身を乗り出し、頭を撫でてあげる。
//SE 身を乗り出す衣擦れの音
//SE 頭を撫でる音。
「よしよし、本当に良くお仕事がんばったね!」//近距離演出
「じゃあ、近いうちに出会いあるかな~って感じのところ占おう!」
「ふふん! あたしが良い出会いを引き寄せてあげるから、任せて!」//キリッとした感じで
お姉さんは、姿勢を戻す。距離感、元に戻る。再びカードシャッフルを再開。
//SE タロットカードがかき混ぜられて、擦れる音。
お姉さんは、シャッフルしていた手を止めて、タロットカードを一つにまとめる。
//SE タロットカードがトントンとテーブルで整えられる音。
「はーい。じゃあ、どっちが上か決めて」
タロットカードの束の上で、お客さんがどちらを上にするか決めるために指で叩く。
//SE トン、と叩く音
「こっちが上ね。三等分するから……」
「そうそう。利き手で、この三等分した束を好きな順で重ねてね」
「前の時の占いのこと覚えててくれて、うれしいな。ありがと」//ちょいテレ
お姉さんは、重ねられたタロットカードの束をまたテーブルで整える。
//SE タロットカードがトントンと整えられる音。
「はい。利き手と逆の手を出して。そう。タロットカードを置くから、上から利き手を被せてね。うん。そう。私も上から手を乗せるね」
「じゃあ、目をつぶって、ゆっくり占いたいことを思い描いていこう」//ゆったりと
「……スーハー」//鼻から息を吸い、吐き出す音
「はい。目を開けて」
お姉さんは、包み込んでいた手を外して、タロットカードの束を自分の手の中に戻すと、上から六枚のカードを横に置く。
//SE シャッシャッシャと、六枚分のカードの擦れる音。
「今回の占いは、ヘキサグラムって言ってぇ、六芒星の形にカードを置いてきま~す」
お姉さんは、タロットカードを七枚目から六枚、六芒星を描くように並べて置く。
//SE シャッシャッシャと、六枚分のカードの擦れる音。
「最後、六芒星の中に一枚で、合計七枚」
//SE シャッと、最後の一枚の音。
お姉さんは、カードをめくりはじめた。
//SE シャッシャッシャとカードがめくれる音。
「まず、過去から見ていこうか。吊るされた男の正位置だね。忍耐って意味があって、お仕事が忙しくて、恋愛モードじゃないなーって思ってたことを表してるね」
「次に、現在は、月の正位置。ふむふむ。このカードはね、不安感の表れなんだ。だから、仕事の忙しさは減ったけど、『あれ? このまま恋人できないかも』みたいな漠然とした不安感が出てる感じ」
「うーん。近未来……隠者の逆位置かぁ」//不服そうに
「君、ちょっと『まぁ一人でも楽だし、ま、いっか』って思ってない?」//詰め寄る感じ
「ほらぁ、その顔、図星でしょー!」//プンプン感
「今回のキーカードはね、女教皇の逆位置なの。これは、もっと心の赴くままに行動せよ! ってアドバイス。だから、ピンときた子がいたら、面倒臭がらずに声かけること!」//ビシッと
「それから、戦車の逆位置。これは、君の周りにいる子達が『恋愛モードじゃなさそうだし、一人でいたそう』って、君に遠慮しちゃってる状態。ダメじゃん!!」//ぷりぷりした感じで
「むー。君の今の気持ちを表してるカード、愚者の逆位置なんだけど、どういうことなの!? 恋愛にめっちゃ消極的じゃん!」
「もうッ! 頭キターッ!!」
お姉さんは、椅子から立ち上がり、六芒星の真ん中のカードを押さえる。
//SE ガタッという椅子の音
//SE ドンッと、カードを押さえる音。
「ちょうど、最終結果は、塔のカード! これはね、破壊を意味するのよッ!」
「つまりぃぃぃいいい」//しり上がりで
「とりぁー!!」
「
なんと、お姉さんは、必殺技を叫びながら、テーブルの上のカードたちを競技かるたのように豪快に弾き飛ばした!
//SE バーン!とテーブルを叩く音
//SE ガタガタとテーブルが揺れる音
「……クッ! ハングドマンは、
「さぁ、
お姉さんは、再びタロットカードを六芒星に置き始める。
//SE シャッシャッシャと、カードの擦れる音。
//SE シャッシャッシャとカードがめくれる音。
「現在の状況は、月のカードから運命の輪のカードへ書き換えられたわ! これは予想外の出会いが、もう間近に迫ってるわよ!」
「それから、未来は隠者の逆位置カードから女帝の正位置カードへ。ふふふふふふふふ……」
「キタコレッ! ラブ・フィーバータイムが! すぐそこに!」
「キーカードも女教皇の逆位置から太陽の正位置にグレードアップ!」
「とにかく気になるあの子をガンガン、デートに誘うのじゃー!!」
「君の周りの子も、戦車の逆位置から正義の正位置に。君が決められないなら、『もう! あたしが決めてあげる!』くらい気持ち高まってる!」
「そして、君のウジウジした気持ちも審判の時を迎えたわ……。今すぐ行動すべしッ」
「さすれば、
お姉さんは、テーブルを叩く。
//SE バンッという音。
「はぁはぁ……」//疲れて息切れ
お姉さんは、椅子に座る。
//SE ガタッと椅子を引く音。
「やばい……張り切りすぎて、疲れちった……」//小声
「コホン。ま、そんな感じなので、ガンガン、気になった子にアプローチしていったら、超上手くいくよ!」//取り繕って明るく可愛く
「……?」
「え?」
「えええ???」//困惑
「んんんんんんん?????」//困惑
「はい? じゃあ、あたしと? デート???」//困惑
「ふぇえええ???」
「……イヤじゃないよ! イヤじゃないけど……」
「ふぇえええ???」
「あたしでいいの? 本当の本当に?」
「そんな力強くうなずかないでぇ~。えええ、めっちゃハズイ……」
「あたしも……いいなって思ってたよ……やだぁ……顔、あつくなってきたー!」
//SE ピピピピピピ、タイマー音。
お姉さんは、タイマーを止め、身を乗り出す。
//SE 身を乗り出す衣擦れの音
「……占いの時間終わっちゃったから……ここからは、プライベートで……」//耳元・超近距離演出
「それじゃあ、お名前と生年月日教えてよ♡」//耳元・超近距離演出
(おわり)
なお、作中の占い結果のタロット見たい方は、こちら。
https://kakuyomu.jp/users/sasa_makoto_2022/news/16817330662853254522
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本作は、第2回「G’sこえけん」音声化短編コンテストに応募中です。
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ギャル占い師が運気を⤴あげぽよ⤴してくれる占いの館☆運気上昇アゲアゲGIGA MAX!! 笹 慎 @sasa_makoto_2022
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