第5話 自室にて
じーっと考えていた。そして大きな声でこう言った。
「決めた!私はどんなことがあっても魔女になる!」
そうだもうウジウジしていても仕方ない。そんな性格でもないし考えても答えなど出ないのだ。もう進んで進んで進んでいくしかないのだ。
魔女になるのは昔からの夢だ。
もし魔女になったらトールとは同じ時間を過ごせない。魔女の寿命は長い。むかし自分の息子を老衰で看取ったことがある魔女の話を読んだ。それでももしトールさえよければいっしょに過ごしていきたい。私を魔女にするのがトールの夢だなんて初めて知った。そんなトールの期待に応えたい。
昨日までは、魔女になるのをやめてトールのお嫁さんとして一生終えるのもいいなと思ったけれど、トールはそんなこと望んでいない。きっとトールがテリアのことを好きでも魔女になる応援はしてくれるだろう。
そうしたら二人の結婚式を魔法で華やかにしてあげよう。私が魔女になるのをあきらめたというとトールががっかりする。そんなことしたくない。好きな人をがっかりさせることなどできるわけないのだ。
私も恋に落ちた。それはもう否定しない。でもまだ私には魔力は残っている。だから私は魔女になる道をあきらめない。まだ道が続いているのならば歩いて行こう。
そう思いながら外を見ると満月が高く上がっていた。
魔法使いの女の子 風月(ふげつ) @hugetu2
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