第4話 帰り道

 トールが気をつかってか、ここのところ毎日いっしょに帰ってくれる。これはいつものことだ。でももう話すことがない。いつもは私が一方的に話しているけれど、今日はトールが話しかけてきた。


「今日の魔法実習はうまくいったね。」


「そ、そうね。この間負けた相手に勝てたのはよかった。」


「僕らぐらいの歳の時は魔法が安定しないみたいだから、よく魔法が出たり、なかなか出なかったりするみたいだよ。」


「そうなの?」


「サリアは本当に何も知らないね~。」


「そんなことないわよ。」


「まあ、それだけ魔法に困ったことがなかったんだよね。すごいよ。」


「魔法が使えなくても?」


「サリアが魔法を使えなくなることなんてある?魔女になる夢に確実に向かっていると思うけれどなぁ。」


「魔法が弱っていても。」


「さっきも言ったじゃないか、僕らの歳の頃には魔法が安定しない時があるって。だからそれだよ。」


「でももし使えなくなったら、あきらめないとダメだよね。」


 そういうとトールは私の手を両手で握って、


「大丈夫、そうなったら。僕が応援する。どんなことをしてもサリアを魔女にする。」


そう言って顔をグッと近づけてくる。私は顔を真っ赤にしながら、


「ありがとう。」


と言う。トールは続ける、


「あのときした約束は絶対に果たす。君を魔女にするのが僕の夢だ。その傍にずっといたいんだ。」


「わかった、わかった、顔が近いよ。」


 慌ててトールから距離を置き、火照った顔を冷やす。 もう家の前だったので、逃げるようにして家に入った。きっとトールは不思議そうな顔をして私が家に入るのを見ていたに違いない。トールってそういうところあるのは昔からだ。

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