ルルディコール

大三角に囲まれた

白鳥の頭から

とうとうと流れる光を追いかけて

さっとなくなってしまえば

その情動さえも葉脈を伝う


虚空を仰いで

口を大きく開いて

空気の粒を

足引かれる感情を

溜息から洩れた幸せを

噛みしめていたい


淀みない血液をエーテルに溶かして


絞りだした声が放物線を描き

夢や希望の消失点で滲む

分裂した上澄みは

銀色の網の目に引っかかり

風鈴のように揺れる

夏風に靡く

息を吹きかける

溜息をつく


銀の紐は切れた


大気の粒も

光の道筋も

どうか消えてしまって

今はもっと加速度を

震えぬ鼓膜にさざめきを


水瓶の乱反射する水面に

鮮血を注ぐ

沈殿した心のうえに

声の上澄みが被さる


逆接の先に幸せを願った

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幸せの一画目 川上 世普 @ns47y

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