第3話 さようなら


 気付くとコンビニ近くの公園にいた。一時の雨はあがり、雲間から光が差し込んでいる。


 夕焼け空。涼しい風が吹く。


「私もね、青空そらと一緒に生きたかった。一緒に笑って一緒に悩んで、そうやって姉弟きょうだいとして楽しく生きたかった。でも……ごめんね……」

「姉ちゃんが謝る事じゃないよ。全部、仕方ないんだよ。命って案外もろいもんなんだよ」


パチンッ!

 デコピンをくらう。


「弟のくせに生意気だぞ」

 姉は少し笑った。強がった様子、でも、やはり涙を流した。


「私、十年しか生きられなかったけど、青空そらに出会えて良かった。青空そらが弟で良かった」

 僕の頬には涙がつたった。

「今日の出会いは忘れられない大きな奇跡だよ。いつかまた会えるよね? あ、もうそろそろ私はかえらなきゃ」

 別れの時が来ることは分かっていた。けれど、頭の中では必死でそれを否定している。

「目を閉じて」

 けれど。

「分かった」

 ソラの言うとおりに目を閉じた。



~♪ ~~♪ ~♪


 ソラの歌う歌声は記憶の中の姉の歌声に似ている。いや、当然だ。ソラは僕の姉なのだから。

 姉の得意な歌、『青空あおぞら』が二人の世界をかなでる。


~♪ ~~♪ ~♪


 歌い終わるとソラは言った。


「さようなら」


 夕焼け空。もう触れる事の出来ない形はに消えていった。


 そして僕も言った。


「さようなら」、と。






[[[おわり]]]




最後まで読んでくださり、ありがとうございました!


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夏の青空 とろり。 @towanosakura

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