見えない道

夕日ゆうや

見えない道

 VRMMORPG《グルメ・ファンタジー・オンライン》。

 完全に全身投影型VRゲームで、VRヘットセットで脳内で起きている電気信号のやりとりを完全に理解し、フィードバックする。

 だから、この世界で食事を摂っても満足感はあるが、太らない。

 完全に味を再現できている世界で、俺は今日もいくつもの食材を漁っていた。

 そこで新しい食材が発見された。

 俺とパーティの二人を引き連れて、草むらをかき分けて進む。

 すると断崖絶壁の渓谷にたどり着く。

「どうするの? アッシュ」

「そうだよ。わたしたちじゃ、この道は通れなさそうだよ?」

 アシアとソシエが交互に声を上げる。

「……いや、この渓谷はただの渓谷じゃない」

 俺は魔法の《千里眼》を使う。

 すると、渓谷の上に見えない道が開ける。

 ブロックのような板がガラスのように陽光を反射してうっすらと見える。

「この先に最高の食材がある。いくぞ」

「はーい」「うん」

 俺はその先にいるボスであるサソリ型のモンスターを倒すと、サソリの肉を手に入れる。

「これ、うまいのか?」

「調理してみるね!」

 アシアがそう言い、ソシエと一緒に調理を始める。

 サソリのスープができあがり、食卓に並ぶ。

「匂いはいいが……」

 実際に身体の中に入るわけでもないので、俺はサソリを口に運ぶ。

「ん。意外とうまい」

「ホント?」

「良かったぁ~」

 二人も食べるが、満足そうな声を上げる。

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見えない道 夕日ゆうや @PT03wing

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