善哉

 鹿毛といえば、つい『一夢庵風流記(隆慶一郎、集英社、以下敬称略)』にでてくる慶次のエピソードを思い出してしまう。原哲夫の手になる漫画版(脚本は麻生未央)にもほぼ同じ顛末があった。

 表題にある朝日FSとは、二歳馬を対象とした日本中央競馬会が主催する朝日杯のG1レースであろうか。概ね十二月の中下旬に行われる。

 鹿毛とは茶褐色の体毛だが、空気がぴりりと引き締まった冬の一日……それも阪神競馬場での大一番に挑まんとする若駒の武者震いを表現したものか。

 若々しくも輝かしい臨場感にあふれた秀句である。