9 殺し屋JKと添い寝
//SE:布団に入る音 位置:正面、距離:中
[位置:正面、距離:中]
「はー……力抜けるー……」
「ねーほら、来て。一緒に寝よ」
「"やっぱりだめ"じゃない。私がそうしてほしいの。……それとも、私と一緒のベッド、嫌だった?」
「んふふ、じゃあほら、来て。あなたのベッドなんだから遠慮しないでいいでしょ?」
//SE:布団に入る音 位置:正面、距離:近
[位置:左、距離:近]
「流石にシングルだと近いね。でもわりとアリかも」
「……もー緊張しないでよー。あの隠し部屋いた時より離れてるんだよ?」
//SE:ベッドの上を少し移動する音 位置:左
[位置:斜め左、距離:極めて近い]
「じゃ私の方からくっつく。んふふー」
「……なに? ……あ、まだ疑ってるなー? さっき車で言ったのは全部ホントなんだからね」
「そっちじゃないの? ……一緒に寝るのが? あはは、それのことー?」
「"一人じゃ寂しいから"、じゃ納得しなかった?」
「……ま、普通はそだよね」//肩をすくめるような少し不満げな口調
//同時にSE:ベッドの上を少し移動する音 位置:左
[位置:左、距離:近]
//声は基本的に控えめ
「……」//呼吸を整えるように息をゆっくり吐く
「私が殺し屋やってること知ってる普通の人って、あなただけなんだよね」
「家族? いないよ。孤児だったから」
「今は堅気の知り合いとかそれなりに増えたけど、その人達みーんな、ウソついてる私しか知らないんだ」
「それに殺し屋って当然さ、殺されることもあるんだよね。……まぁだいたいは、事前情報揃えてさ、一方的にあっさりやるだけなんだけど」
「それでもまぁ、たまには、向かい合って武器構えて、やり合わなきゃいけない時もあってさ」//どこか諦めた感じの混ざった口調
「それはそれで"生きてるー"って感じがするから、嫌いじゃないけど。それでも痛い時は痛いし、疲れる時は疲れるし」//やれやれといった感じで
「……死ぬ時はあっさり死んじゃうんだよね」//虚しいような口調
「まぁーつまり? いつ死ぬか分からないってやつ? 普通に生きててもそうだろうけど、私らみたいなのは余計にね」
「……」//一呼吸
「あなたを落ち着かせるために耳かきしてあげた時にさ、なんかこう……普通の人の世界ってこういうものなのかなーって、思ったの」
「そりゃ知識としては色々知ってるよ? ……まぁ、ドラマとか漫画とかでだけど」
「なんかいざ普通の男の人にしてると、なんていうか、体験として実感したっていうか……」
「その……普通の恋人とか、家族みたいなこと」
「仕事で不意を突くためにやった時も男だったけど、その時は何も思わなかったんだよね。仕事のスイッチ入ってたって奴かもしれないけど。そうだとしても、あなたにしてあげた時はなんか違ってさ。……こういうのいいなーって思ったの」
「だから、あなたを車で送り届けて、それ以降二度と会わなくなったら、嘘をつかなくていい、こういうことできる人と出会えるのって、生きてるうちに来るのかなって……」
「……」//一呼吸
「……幸運の女神には前髪しかない、って言葉知ってる?」
「チャンスは来たその時に掴まないと、通り過ぎてからじゃ遅い、みたいな意味なんだけどさ……」
「私にとっては多分……今日がそうだって思ったの」
「学生のフリして、依頼受けて人をやるいつもから、一歩だけでも、違う人生に行けるチャンスは多分、あなたしかいないって」
「まぁかといって、今の仕事簡単にはやめられないんだけどね。色々事情はあるけど……これはまだ話す勇気はないかも」
「……いきなりこんなん言われても重いよね。私もどうなるかなんて分かんない。どうしてもあなたと相容れないことがあるかもしれないし、ひょっとしたら普通に、余計に一般人と関わるなーとか言われて終わりかもしれない。けど、何もしないでさよならするよりマシだから」
//SE:ベッドの上を少し移動する音 位置:左
[位置:斜め左、距離:極めて近い]
「嫌なら嫌だって、正直に言って。自分がやってきたことが上等じゃないことぐらい、分かってるから。嫌って言われても、恨んだりしないから。あなたの情報を悪用したりとかも絶対しない。今日を最後に、あなたには関わらないようにする」//語気は控えてるが覚悟を決めたような真面目な口調
「でも、もし……。その、もし、嫌じゃないなら……また会いに来ていい?」//顔色を伺うような控えめな口調
「……」//わずかに息を吞む
「……ホント? ほんとにホント?」//嬉しさをこらえるように
「~っ!」//嬉しさを言葉にできない感じ
//SE:抱きつく音 位置:正面
//ここからリラックスした口調
「……んふふ、だめー。今日はもうこのままで寝るー。起きるまで絶対離れないから」
「はぁ~……。仕事のとは違った緊張で一気に眠くなってきた……」
「自分のことなんて滅多に喋らないもん……なんかちょっと恥ずかしかったしぃ……」
「……確かに抱きつくのもそだねー。けど今はー……あんまり恥ずかしくないかも」
「……んー多分、隠し部屋の時に一回したからー……? あなたにならいいかなって……んふふ」
「いいのー……ハグは健康に良いからー……いくらやったっていいのー……」
「そーそー、
//三十秒ほど寝息
「……ねー……足……くっつけていい……?」
「んふふ……あったか……」
//一分ほど寝息
「……明日さー……朝起きたら……ごはん、一緒に食べよー……?」
「……やった……やくそくねー……。……おやすみー……」
//一分ほど寝息の後フェードアウト
殺し屋JKに拉致られて密接距離で過ごす一時の話 ひとぎん @variantstring
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